2016年1月31日日曜日

お陰さまで

日曜夕方、ダニーが無事戻りました。彼にとって長い長い18日間でした。

旅行先でママの骨折、緊急入院、手術、術後の介添えなど、慣れない土地でかなりストレスがかかりました。退院当日にママが病室のベッドでランチを食べている間、ダニーがテーブルに置いた財布から現金を抜き取られるという災難も。

介護に携わる人への尊敬の念が増したと話す彼。そして状況は違っても亡母に寄り添った私のことが違うレベルでわかるようになったと。個を尊重する社会での親子関係は、日本のそれとはちょっと違うニュアンスも含んでいて、私には不思議に見える場面もありました。それでも息子と母というデリケートな関係で彼はとてもよくやったと思います。

ママも人に頼るという考え方がなく自立心旺盛です。頑固ではないけれど、時としてその自立心は現実とかけ離れて見えることも。その辺りをいかに納得してもらって手助けできるか。尊敬と愛と、なにより忍耐がないとできないことです。

手首骨折という大けがでかなりの痛みもあっただろうに、文句も言わず最後まで休暇を彼女なりに楽しんだことに感服です。EU圏内なので医療費は全額無料。ホテルと病院の行き来でタクシー代はかさんだようですが、北米で同じ事が起こったらと思うと背筋が寒くなります。

手首を支える鉄柱が外れるまであと二ヶ月。幸いにも利き手ではなかったし、なによりも骨折が腰や足だったら現地で長期入院となっていました。高齢で長い間安静を強いられるということは、その他の健康に影響を及ぼしかねません。家族への負担は大きくなりますが、ママ自身の気持ちが安定していることが救いです。

飛行機からラーメンが食べたいと連絡が来たので、生麺を仕入れて料理教室で好評だった味噌スープを作りました。ひき始めの風邪がにんにく&ショウガパワーで吹き飛ばされますように!

Ireland 2015 Day 7 - St. Stephen’s Day

新年のご挨拶をしたもののなぜか年明けの実感がないまま1月も終了。この際、流れは旧暦と割り切って、年明け前にたまったブログのマラソン更新を続けています。

クリスマス当日の模様はリアルタイムで載せたので7日目です。ところでクリスマスはNYでも最高気温が20℃を越したとか!地球規模でエルニーニョ暖冬か。

毎年26日は家族全員が集まってプレゼント交換をします。
ママ宅近くの二番目の兄宅に、昨日は北アイルランドで過ごしたダニーの直ぐ上の兄とフィアンセも合わせて全員が揃いました。

子供たちのためにプレゼント交換をしてからディナーの運びとなります。
大人はそれぞれ買う相手がママのくじ引きで決められます。私は兄に日本からダウンジャケットを持って行きました。事前に奥さんに打診した甲斐あり気に入ってもらえました。
ママは子供や孫たち全員とプレゼントの受け渡しがあるので、帰りはうれしい大荷物。ダニーはクリスタルのショットグラスをもらって喜んでいました。

年々成長し大人グループに仲間入りした子供たちもいるので、荷物的には前と比べてかなり楽です。
私は一番上の姪からとても素敵なレシピ本をもらいました。

下は2歳半から上は22歳の甥姪たちの成長ぶりに目を見張ります。
 かなり高いヒールを履いても私より背が低いお義姉さんと私で18歳の甥をサンドイッチ。来年はもっと伸びてるんだろうな〜
テーブルを囲んで多くの話題に花が咲きました。照明デザイナーの兄はウイーンでオペラステージを手がけることになり、タイミングが合えば見に行く予定です。彼のフィアンセは女優で、先日BBCのドラマを見ていたら彼女が出ていてびっくり。皆それぞれの世界で活躍中です。長兄の奥さんのお母様の訃報など悲しいニュースもあったけれど、また一緒に年の瀬を迎えられた喜びは格別です。

ダブリンから東京へ向かうのが定番だった数年前、皆の笑顔をビデオに収めて、母に新年の挨拶として届けていました。その時に教えてといわれた一言をみんな覚えていて、帰国前に会えないかもしれないメンバーは一杯の笑顔で「よいお年を!」と抱きしめてくれました。

Ireland 2015 - Day 5 Christmas Eve

12/24(木)明けも夜半から続く風が吹きすさんでいます。前の広場から各家に伸びる電線を見るたび、よくもってるなあと感心します。
強風のお陰で雲は留まることなく驚く早さで流れ青空が広がり、午後一杯も晴れの予報。 いつものイヴはママと三人で町に出て遅めのランチをとり、夜はミサに行きます。今年は町に出なくてもいいということなので家でディナーを作ることにして、ダニーと私はキルケニーへ出かけました。Kilkennyはダブリンからは南西に1時間半ほどのところで、ビール好きならエールの名前として馴染みがあるかも。整備された高速道路の運転は滑走路を走っているかのような開放感が味わえます。それも恵まれすぎるほどの好天のお陰ですね。
まずホリデースケジュールで午後1時まで開場のキルケニー城に行きました。 重厚な城壁内に足を踏み入れたら、その眩しいまでの緑に圧倒されました。



 
ふかふかの緑の絨毯には足跡がくっきり。

13世紀初頭に建てられた貴族の館は、14世紀から1967年までバトラー家の住居でしたが、1969年に国に50ポンド(手続関連費用)で引き渡されたそうです。その頃のお城は荒れていて、全盛期を忍ばせる調度品も売り払われた後でしたが、その後復元され今は華やかなりし頃を想像することができます。

早口だけれどききやすいガイドさん率いるツアーは、お城の歴史や昔の人々の暮らしぶりがうかがえる楽しいものでした。城内は撮影禁止で写真はなし。厳しい気候のお国柄からか、室内の装飾には何気ない自然、たとえば庭の樹々花々、かえるやカタツムリなどのちいさな生き物をモチーフとしたものが見受けられたのも印象に残りました。
昔はお茶が貴重品で、館のマダムが鍵付きのチェストに管理していたこと、暖炉のそばにある刺繍を施した立て板のようなものは、暖炉の火でご婦人が赤ら顔になるのを防ぐものであること、四葉のクローバーのような4人がけの椅子は未婚の男女が背中合わせに座って会話をするソファーで、その間にはそれぞれのお目付役が座るのが常であったことなど印象に残りました。家の棚には世界中のお茶があり、楽な服装でどこにでも行ける時代に生まれたことに感謝しなくちゃ。
お庭にはたくさんの薔薇が。春はさぞきれいでしょうね。


お城の目の前にあるアート&ショッピングセンターもすてきでした。かわいい手編みのセーターや陶器等のクラフト、銀細工のワークショップ、地元デザイナーの作品展示館など個性の異なるお店とスペースが集まっています。
ちっちゃい子が居なくても欲しくなっちゃうニット類や小物をはじめ、硝子の額縁に入ったモダンアートの衝動買いをぎりぎりで思いとどまりました。ダニーも気に入ったけれど、家の限られた壁スペースを冷静に思い出せたのは彼。
 

ランチは兄と弟がすすめてくれたLangton House Hotelのレストランにて。 こじんまりとした町はホリデー前のうきうきした雰囲気に満たされていていい感じです。子供連れの人たちが多いのが印象に残りました。

「私の愛するものたち」と称してFacebookに写真を載せたら、ダニーの「ピントがギネスに合ってる。自分は優先順位のどこにいるかよくわかった」というコメントがウケてました。 ダニーはチキン、私は揚げタラと芋。このタラがね、すっごくおいしかったんです。盛りつけが素朴すぎて特に期待していなかっただけに嬉しい驚き。お芋もよかった。
チキンの付け合わせのマッシュポテトもよかったけれど、どんだけバターいれたの?というある意味コワいおいしさでした。
デザートはベイリーズブラウンブレッドアイスクリーム。コレをメニューに見つけて、ダニーが珍しく絶対食べなきゃ!と言うのでオーダーしました。確かに素朴なパンがフレークで入っていてモルト風味がよかった。キャラメルソースは見かけを裏切る事なく、歯が溶けるほど甘かった(苦笑)。
かなり混んでいたけれど、サービスも迅速で、ウエイター全員が、ブリジットジョーンズの日記のコリン ファースを彷彿とさせる出で立ちだったのも笑えました。
腹ごなしにぶらぶらして車に向かっていたら、ダニーがもうすぐ雨が降るよと。空明るいのになと思っていたら、車に着いたとたん降り始めたのにはびっくり。
帰り道にはきれいな虹があちこちで見えました。
家に帰ってすぐにポルチーニをお湯で戻して、これでもかってほどのクレミニも加えてリゾットを作りました。キノコはママの大好物。二年前も作って喜んでもらえたレシピです。 交替しながら気長にぐつぐつ。いいにおいがたまらん〜
キノコの出汁をしっかり吸って、チーズでツヤがでたご飯の上にまたチーズたっぷり。コレが美味しくないわけありません。
合唱団が歌い始める8時半を目指して教会へ。ミッドナイトミサと呼ばれていますが、実際は9時からです。
又今年も三人で一緒に過ぎ行く年に感謝し、来る年への喜びを分かち合えたことに感謝です。
家に戻って皆でお茶を飲みながらのんびりまったり。東京の里帰りと違ってここダブリンでは、いい意味で夜がゆっくり流れます。