左からえみこさん、私
彼女はバージニア州へ、私はアーカンソー州へ期待を抱いて留学しました。彼女はテニス部、私はバスケ部。お互いに勉強に苦労しながらも、ホームシックにもならず高校生活を満喫しました。頻繁に会っていたわけではないけれど、会う度に距離がぐんと近くなる大切な心の友です。彼女は社会人になってスカイダイビングに魅せられ、アメリカでインストラクターやパイロットの資格を取得。コマーシャルエアライン勤務を経て、今はパイロットでスカイダイバーのご主人と二人でスカイダイビング場、Flying V Ranchを経営しています。4エイカー(約8ヘクタール)という広大な土地にオフィス、ハンガー(飛行機の駐機(?)場)、作業場、滑走路があって地平線も見渡せます。コロンビアという大学街から一番近いドロップゾーンとして経験豊富なジャンパーも多く訪れているとのこと。
私の出張が急遽決まったとき、彼女は日本に帰国中でした。ミズーリといえども広いので、まあ会えないだろうと思っていたら、なんとお家は仕事で来ていたチェスターフィールドから車で1時間強とのこと!この距離はアメリカなら超近い!しかし私は当初水曜日に戻る予定で、彼女がお母様と帰国するのは金曜日。こんなに近くに来るのに会えないなんて。。。とお互い残念がっていたところ仕事が延長となり、数日お家に遊びに行きました。お母様にも25年ぶりにお目にかかりました。
とにかく広い。遠〜くに見渡せるフェンスが境界線と聞いてびっくり。
池には魚も住んでいて釣りが出来ます。春はガチョウが来てひなもかわいいそう。
だんなさんが作ったブランコもかわいく、俵型にまとめられた干し草なんかにも興奮してしまいました。
畑にはキュウリやブロッコリー、トマトができていて、ドアの外にはハーブガーデン。うらやましい!
日本並みの狭さの台所で日々格闘している私には何もかもがおとぎの国のようでした。何日か私も料理をさせてもらい、喜んでもらえました。
だんなさんのお父さんはリタイア後も現役飛行を続けていて、いつでも何処でも自家用機のBonanza 36で飛んで行きます。
燃費は思ったよりよくて14ガロン(53リットル)で一時間の飛行が可能だそう。時速150kmの早さで1ガロン(3.8L)で15マイル(24km)を飛べるとは優れものです。ちなみに家の燃費がよい小型SUVで1ガロン25マイル。そして飛行機は道路と違ってより直線での移動が可能なので車より時間が節約できます。
車で40分ほどの所にあるHermannという街には飛行機で連れて行ってもらいました。えみこさんとお義母さんは車で向かい、飛行場に待機してくれています。
あっという間に飛び立つと、眼下には農地が広がります。
ミシシッピ川やミズーリ川周辺の土地は洪水を繰り返しながら農耕に最適な肥沃な土地が作られました。トウモロコシ畑や大豆畑がとにかく平らに果てしなく広がっている感じ。
雲が近い
かわいい雲がぽっかり浮いていて和みます。原子力発電所も遠くに見えました。
小型機は結構揺れます。当日は風が穏やかだったけれどさすがに40分ほどの飛行の最後はちょっとつらい。下りると顔が青いよと言われました。
中西部は何処にでも小さな飛行場があって、いつでも誰でも離着陸できます。停めるのも無料。大したものです。
まあそこで給油する=空港の利益になるという場所が多いらしいですが、思い立ったら直ぐ飛行機で何処にでも行けるってすごいことです。
5年から10年前と比べても技術の進歩は著しく、以前はコードを解読して予想していた天気も今はGPSでリアルタイムで一発。東海岸を騒がせたストームの様子もGPSでくっきりはっきり見えました。
空港から街へはトウモロコシ畑を通って。
義父母さんの次なる目的地はオハイオ州デイトン。そしてストームが去った頃、ニューハンプシャーの友人宅へ行くそうです。そのお宅にも滑走路があり、えみこさんも夏の間、避暑地で有名なナンタケットやマーサズヴィンヤードといった島にお客さんを乗せて飛んでいたころ遊びに行ったことがあります。
お家の敷地には鹿、七面鳥などの動物たちも顔を出すそうです。これからは狩猟シーズン。近所のお店でだんなさんが狩猟許可書をもらってきたので見せてもらいました。
狩猟方法もいろいろあって、銃の他に弓矢(アーチェリー)だけというのもあるそう。
そしてこの許可証としとめた獲物を処理場に持って行くと、部位に分けてくれるのだとか。ハンティングで獲った獲物の総称はゲームと言います。ゲームミートは得てして臭みが強いのでハーブを効かせて煮込んだりスモークしたりソーセージにしたりするとか。処理場でしばらくおいておくと臭みが抜けるなど工夫の仕方があるようです。獲物に許可書がついていないと、検査官が抜き打ちでやって来た時に罰金となるそう。彼の場合は自分の敷地内なら何処でもしとめられますが、都会暮らしの人は州が管理する公園などで狩りが出来る許可証をお金を出して買うそうです。
面白いこと満載で興奮気味の私に、えみこさんは「そういうことが面白いのね〜」と落ち着いた様子。私にとっては非日常感たっぷりでも彼女には日常そのもの。話には聞いていたものの、そのスケールの大きさにはしゃぎまくりの私でした。