2017年1月29日日曜日

アイルランドでの年越し

またまたご無沙汰してしているうちに、1月も終わりに近づきました。この辺り、今季は激しい嵐もやってきて雨降る冬らしい日々が続いていました。先週半ばからは久々に晴れ間が広がり、瑞々しい緑を鮮やかに照らしています。

一ヶ月遅れですが、クリスマス明けから新年の様子を書きます。

26日に集まった時、年越しはどうするの?という話になりました。私たちはママの具合がよければ彼女と年越しコンサートに行きたかったけれどそれは叶わず。特に予定はないと話すと、ダニーのすぐ上の兄とフィアンセが遊びにおいでよと言ってくれました。彼らは去年の夏にベルファストに家を借りたばかりで、大晦日から泊りがけで行くことに決まりました。

27日も雨予報が曇りに変わったので、ダニー家族が夏を過ごした別荘があった海辺の町へ足を伸ばしました。
途中の小さな町にあるパブで飲むギネスがまた最高なんです。風邪が抜けないのでホットウイスキーもいいかなと思ったけど、やっぱりここのギネスが今年も一番でした。

当日はとても暖かくて、歩いたり岩登りをしたりすると汗ばんでくるほどでした。





ここ数年、旅に出るたびに広い空と海に囲まれているけれど、場所によって全く違う表情を見せるからおもしろい。
夜はママに会いに行って、静かに更けていきました。
28日も晴れ!グレンダロッホへ。湖を囲むように6世紀にさかのぼる遺跡群があります。
ここは今まで行ったことがある場所の中で一番好きなところの一つ。なぜか落ち着くんですよね。いつもは一面霜に覆われていることが多いのに暖かくて驚きました。


例えば2年前はこんな感じでこれはこれで雰囲気があります。風もなく穏やかな中、のんびり歩いて空を眺めて。人出も今までで一番多く、違う場所に来たかのようでした。





遅いお昼ご飯をウィックロータウンのPhil Healyにて。食後は港まで散歩して夕焼け空を眺めてこれまた5世紀だかの古い遺跡を散策しての〜んびり。




夜は近所の二番目の兄の家でおしゃべりしながら過ごしました。初めてあった時は学生だった甥っ子もフルタイムで仕事を始めて、毎日の楽しい様子をシェアしてくれました。
29日はホアスという海沿い町へハイキングへ出かけました。

厚めの雲が出ていたけれど寒さはなく、岸壁沿いのトレイルを眺めを楽しみながら上り下り、そして街中も含めて12キロ歩きました。



町中に出る前にゴルフコースを横切るんです。そのあとしばらく歩いて手袋を片方落としたことに気づき唖然。運よく数分戻ったところで無事見つかりました。ツイてる!

夜は一番上の兄宅に夕食に招かれていたので、お土産のスモークサーモンとトラウトを購入。腹ペコのお腹を抱えて港をぐるりと歩いて目指したのは。。。
ダニーのパパが好きだったレストラン。ほぐしたカニ肉にチーズをかけてグリルしたものが最高に美味しかった!もちろんここでもギネスです。

シーフードチャウダーもスモークフィッシュがどっさりで、しつこくないクリーミーなコクあるスープがお腹を優しく温めてくれました。
ディナーには姉夫妻も招かれていて、全員の集まり以外にゆっくり話す機会を持つことができました。

こってりしたごちそう疲れの胃に、野菜たっぷりキッシュの優しい美味しさがありがたかった。兄夫妻のキッチン&ダイニングは使い勝手もデザインも素敵。ワイン通の兄がふるまってくれるワインも珍しいものばかり。
次の夏に西海岸に家族旅行に来るかもしれないと聞いたので、その時はワイナリー巡りにお連れしようと思っています。

タクシーで来たので食後のポートワインもいただき夜は更けていきました。

笑ったのがこちらの絵本。これはアイルランドの子供ならだれもが一度は手にする「どういうしくみ?」という本の大人向けパロディ版。

「夫」と「妻」という二冊を兄がプレゼントでもらったそう。「これは夫です。一見複雑そうに見えますが、実はとっても単純。彼はビールとソーセージで動いています」とか、ワイフの一ページは「これは妻です。彼女はいつも正しいことが好きです。夫が待ち合わせに30分遅れています。そうなるとわかっていたので彼女はとても喜んでいます。」といった具合。独特のユーモアのセンスがいい!

30日は雨の中、北アイルランドへ車を走らせました。ベルファストまでは2時間弱ですが、最初の目的地は100kmほど北上した海沿いのGiant's Causeway(巨人の石道)。火山活動でできた石柱が並ぶ景観は世界遺産に指定されています。巨人がスコットランドに渡るために作った石道との伝説からこの名が付いています。ロンドンに住んでいた頃、北アイルランド出身の友人と来たことがあり、また来てみたいとずっと思っていたところでした。「自分の国で初めて行く場所がここ数年ですごく増えた」とダニーも楽しみにやってきました。着く前に雨は上がりラッキー!
以前はただ車を停めて自由に歩く感じだったのが、立派なビジターセンターができていて入場料も払います。人出もかなり増えているので、環境保全や事故防止には必要な試みなのでしょう。日本語のオーディオガイドもありました。水辺までバス(1ポンド)も利用できますが、下りは景色を愛でながら歩くのがオススメ。

5角形から8角形までの石柱が並びます。



雨風の影響で閉鎖されているトレイル以外は石柱の上も歩くことができ、迫力ある波を近くに感じます。


丘の上には「巨人のオルガン」と銘打ったパイプオルガンの管のような石柱がそびえ立っていました。
くるん、と愛嬌のある岩は「巨人のブーツ」。岩が湿っていなければその上で寝そべってみたいような柔らかい曲線でした。

相変わらず咳が止まらないので、一通り歩いたらブッシュミルズの町へ。有名なウイスキーの蒸留所はホリデーで閉まっていたため、義姉がすすめてくれたレストランで一休みしました。フィッシュパイをつまみに地ビールを堪能しました。


4時前でかなり暗くなりましたが、吹きすさぶ風と反比例するようにパブ内の暖かさは増していきます。あ、酔っ払ってきただけ?いずれにしてもクリスマス明けから新年までの雰囲気は、クリスマス前のそれとはまた違ったよさがあります。大仕事を一つ終えて寛いでるみたいなほんわかした感じ。
次回はじっくりウイスキーも楽しみたいものです。

真っ暗な中の運転も舗装がなめからで交通量も少なくストレスを感じません。7時半にはベルファストに無事到着して、兄と再会!
フィアンセは女優で大晦日まで舞台があります。 彼女が帰ってきてからゆっくりおしゃべりをしました。彼らの新居はどこを見ても可愛い!手作り感溢れています。

 


ただ私たちの咳は止まらず、二人に移さないかとヒヤ汗ものでしたが、彼らも程度は違えど風邪気味とのことでなんとかことなきをえました。
翌日の大晦日。1日雨の予報なのに朝から晴れ!心のこもった手作り朝ごはんをいただいた後、近所を散歩しました。
アイルランドで食べる卵は、ほんっっとに美味しいんです。味が濃くて!
彼らの家は植物園や歴史あるクイーンズ大学、美術館のそばにあり散策にはもってこい。公園で知り合いのご家族に出会った時、お父さんがサンダル姿だったのにはびっくり!10℃は確実に切っていました。まあそれくらいなら普通ってことなんでしょうね。





温室、大学のキャンパス、彼女の公園が行われている劇場などを歩い回りました。大学町らしい雰囲気が落ち着くエリアです。

公演ポスターの前でポーズをとる兄のフィアンセL。観たかったけどチケットは完売御礼!

仕事がある兄とフィアンセは家に戻り、ダニーと私はUlster Museumへ。美術品のみならず、北アイルランドの歴史の展示も充実していてます。




日が落ちるとクイーンズカレッジの雰囲気もまた変わります。
美術館から町の中心まで通りのイルミネーションや市庁舎などのライトアップを見ながら歩きました。当然と言えば当然ですが、町は英国色が濃くて規模は違えどロンドンの街角を思い出しました。通貨ももちろん英ポンドですが紙幣のデザインが違います。英国本土の店舗で受付を拒否されることも未だあるらしいけれど、もちろん銀行にいけば領外できます。スコットランドでも紙幣デザインは異なります。
市庁舎も美しく彩られていました。


 外観はこぢんまりしたオペラハウス
欧州内で爆破された回数が一番多い(?)といわれるヨーロッパホテルの前にはクラウンバーがあります。
その建物の歴史は1826年に遡り、歴史的建造物や環境遺産を保護する団体ナショナルトラストが管理していますが普通に営業中。室内にはドア付きのブースが並んでいます。
ドアが開いていたら相席OK,閉まっていたら貸切。昔はブース内の呼び鈴で注文ができたようですが、今は自分でカウンターでオーダーするシステムです。ブース内にはマッチ用の擦り板(?)があちこちにありました。

店内にはエッチング入りのガラスや鏡が至る所にあり、これもアイルランドの典型的パブとは雰囲気が異なります。相席カップルと世間話をしながら、ギネスを1杯、ダニーは3杯(笑)。アクセントがきついけれど、結構聴き取れてびっくり。昔の感覚を耳が覚えていたようです。今回北アイルランドを初めて訪れた(以前は国境を超えただけ)ダニーは、北の雰囲気をとっても気に入っていました。会う人、いやすれ違うだけの人でもみんな笑顔があったかいのです。パブも全体的に南(アイルランド)より手入れが行き届いている印象があると言っていました。

帰りはスパニッシュフュージョンのディナーをとって、家に帰りました。帰る道すがら、クラブの前にはミニドレスに生足の女の子たちが列を作っていました。雨降る寒い夜でも大晦日は気合入ってる!

私たちオトナ4人は、美味しいスナックをつまみながらおしゃべり&シャンペン片手に2017年を穏やかな気持ちで迎えることができました。



元旦は快晴!これも天気予報を覆す吉報です。
ありえないほどの天気の良さに「もうこのまま、ずっと居て〜」とフィアンセに頼まれました。しかし晴れている=厳しい寒さであったこの日。止まらぬ咳でよく眠れない私たちでしたが、兄たちの恒例元旦山歩きについて行きました。




半端ない風ばふきすさんでいて、耳がもげそうになった。。。

帰りの車でダニーは震えが止まらず、帰りに寄ったミシュラン一ツ星のパブでもほとんど食べられず、お持ち帰りをお願いすることに。

欧州ではドギーバッグの習慣がなく、ましてや星付きがガストロパブ。。。それでもお店は親切に普通のタッパウエアで対応してくれました。

 
 帰りがけに明日の目的地であるタイタニック博物館近辺をドライブ
ダニーも熱はないようなのでたくさんの水分をとって早めに寝たけれど、夜通し続く咳がつらそうでした。かくいう私も3日間でティッシュ3箱完全消費。熱や節々の痛みがなかったので活動できたのが幸いでした。
1/2も快晴〜!兄は仕事で一足先にダブリンへ。私たちは南北分断時の壁あとや街中の壁画を見てから、タイタニック博物館へ。










結構歩いたけれど、朝の空気は気持ちよくて最高でした。
 

 1912年4月にサウサンプトンからニューヨークへ航海中に沈没したタイタニック号。博物館は事故から100年を迎えた2012年に船が建設された場所にオープンしました。


造船町ベルファストの歴史、船を造る工程のCGやタイタニックの内装の復元模型などが興味深かったです。始めの展示室にあった子供たちを写した写真。素足で石畳に佇むその瞳の輝きがとても印象に残りました。

海底調査の映像などで今も海底に眠る備品の数々が映し出され、乗客乗員約2200人中1500人が犠牲になった悲劇が色濃くなります。なかなか面白い展示でしたが、実物大の内装はイベント会場で一般公開はされていないようで見ることはできませんでした。


 真っ直ぐに伸びる線は、タイタニックが海へとたどった軌跡
展示物もさることながら、壮大なのはその建物です。ダニーの兄は建築家で彼の会社も構造には携わったと聞いていたので、興味深く見学しました。


兄宅に帰ると、こんなメッセージがキッチンのボードに。玄関のメッセージも変わっていました。
P兄さんとフィアンセLのおかげで、幸先のいい新年のスタートを切ることができました。ありがとう〜!

帰りは1時間半でダブリン着。一息ついて二番目の兄夫妻と近所のパブで落ち合って、新年のご挨拶です。一番遠くに住んでいながら新カップルの新居を訪れた私たちは「開拓者」という栄誉ある称号(?)をいただき、ママやダブリンの家族に写真とお土産話を届けることができて喜んでもらえました。

帰国前日の1/3は風と雨。おかげで最終日は家の片付けと仕事が捗りました。時差を逆手に毎夜3時くらいまで仕事をしていました。おかげで緊急のテストにもタイムリーに対応できて、今回の旅は今まで以上に効率的な時間の使い方ができたと思います。

1/4、雨降るダブリンを発って同じく雨のサンフランシスコへ到着しました。天気だけみると全く同じで時差があるんだかないんだか。咳き込みながらもよく動いた2週間でした。

は〜、これで年末年始の旅日記は終了です。おそまつさまでした。