2024年3月25日月曜日

腫瘍が消えた!完全奏攻 (CR)

今日の主治医との面談で、ダニーの Complete Response を確認できました!日本語では完全奏攻っていうらしい。完全寛解とも同じ意味なのかな。治癒ではないらしいけれど、治療の結果、がんの兆候がすべてなくな里ました。手術なしで経過観察に移ることができて、目的である臓器温存を達成することができました!

何度か危険なタイミングもありましたが、本人よく踏ん張りました。

先週末は、長年お付き合いのある友人の誕生日パーティでサンフランシスコへ。

強い風に流される分厚い雨雲は、時に前が見えなくなるほどの激しい雨を降らせていました。降ったり止んだりで、車中からも虹の断片が見えていました。

滞在先に着いたら、見事な虹!

Coit Tower の麓から綺麗に伸びる大きな虹に、心ウキウキ。夜のパーティも盛り上がって、ダニーも一年ぶりに楽しい夜を過ごしていました。

忘れないうちに、闘病者の家族としての気持ちを書いておこうと思います。

まず病気が分かった直後は、当然ながら不安で心が満たされます。命に関わるかもしれない病気に家族が罹ったのだから、不安になるのは当たり前。そして情報不足の中、長い治療が始まることも不安でした。でも考えてみれば未来に何が起こるかわからないのは、病気でなくても同じこと。知らないから不安であれば、情報を仕入れるなど、行動を起こそう!と気分を切り替えることができました。

辛い思いをしている家族に何をしてあげればいいかわからない。できれば代わってあげたい。こんな考えも頭に浮かんできます。自分が辛い方が楽だと思ったことさへあります。でもそんなことはできっこないのだし、一度治療法が決まれば、それに沿ってベストを尽くすだけ。それ以外のことで心労を増やして体力気力を消耗していた自分に、そんな時だからこそ、自分の時間を尊重すること、好きなことをやって罪悪感を感じる必要はないと伝えてあげたい。

湧き上がってくる怒りとの戦いも大変でした。どうしてもやりたかったこと、行きたかった場所、会いたかった人たち。待ち望んでいたイベント予定日が近づくにつれて、思い通りにならない悔しさは募りました。解体作業を任せてくれたら、どんなものでもすぐに破壊してあげる!なんて思ってた。冷静な自分と感情的な自分を静観している自分。三人の自分がそれぞれの言い分で1日を過ごしていて、最後は「まあこんなものだろう」と疲れ果てて終わる。そんな日々もありました。変に抑え込まないで適度にストレス発散してやり過ごしたのはよかったと思います。地下室で大声で歌ってみたり、ビールの空き缶を踏み潰したり、キッチンでひたすら料理をしたり、黙々と山を歩いたり。次に大切な予定が全部ダメになっても同じような消耗の仕方はしません。怒ってる時間がもったいないから。

自分に何ができるのか考えて、やれることはやる。これは別に闘病者の家族だからではなく、生きてる間これができれば、後悔とはある程度無縁でいられるのではないかと思いました。食べることも水を飲むことさへも苦しい人に、何を、少しでも美味しく、栄養も摂りながら食べてもらえるか。考えて工夫していくことはやりがいがありました。準備しても食べられない時もあります。一緒に辛い顔をしても仕方ないし、なら、これはどうだ!と挑戦意欲に切り替えることを覚えました。

人間の脳は、都合の悪いことは忘れるようにできているのかもしれませんね。辛かった日があったのは覚えているけれど、詳細は霧の中です。もう終わったことだし、それを乗り越えた自分達がいるから。あの時苦しんだのも自分、今晴れ晴れとしているのも自分。

一つ忘れないでいたいのは、自分ができること以上のことはできないということ。当たり前すぎることでも、渦中にいると、これが無理ならこっちで帳尻を合わせられるかも?といつも考えていたようです。例えば自分に厳しくすることで、いい運が彼に流れていってくれるような気がして禁欲的になるとか。彼の発病が自分のせいとは感じなかったけれど、同居者としてもっと早く気がつけなかったのか、もっとできることはなかったのかと自問自答もしていました。努力で変えられることとそうでないこと。それを見極めることができていなかったのかも。

辛い時こそ自分の味方になるべし。これは今回のことで痛感しました。

そしてたくさんの人たちのサポートに素直に感謝して、お願いできる心の余裕を持つこと。これも大切です。どうしても申し訳なさが先に立ってしまっていました。人と接するのが億劫になり、それでもいいと思っていた。そんな時でも近しい友人たちは何度となくヘルプを申し出てくれて、心から私たちを心配して助けてくれた。そのありがたさに支えられて今日があります。

明日は白紙。だからこれからも「いまここ」スピリットを忘れずに、人に優しく自分に優しく心安らかに過ごしていきたいものです。

2024年3月22日金曜日

2024年のお正月

そろそろ時間軸を揃えて、今年のお正月のことを。また気ままに昔の旅行記を書くかもしれませんが、今年のお正月、そして日本での3週間を振り返っていきます。

治療サイクルを終えたダニーは、三が日はおせち料理を食べられるまでになりました。

材料も一通り揃って、出来上がったおせちはこちら!

一の重:黒豆、ごまめ、栗きんとん、数の子、伊達巻、昆布巻き(野菜・身欠ニシン)、蒲鉾、紅白なます(庭で採れたゆず釜に入れて)

二の重:海老の旨煮、ベジタリアン松風焼き、鮭の幽庵焼き、鱈の西京焼き、イクラの醤油漬け

三の重:煮物 ごぼう、にんじん、里芋、椎茸、こんにゃく、蓮根、筍、さやいんげん、手鞠麩


黒豆も鉄玉を入れて煮ました。蒲鉾、数の子、こんにゃくは買ってきました。冷凍で買った蒲鉾は少し硬めになっていて、飾り切りが「日の出」(包丁を入れて左右に動かしながら朝日が昇る感じを出すシンプルなやつ)しかできなくて残念でした。

お重に詰めるのに毎回苦労します。朝は初日の出ウォークに出かけて、詰め終わったのは元日のお昼前でした。


お雑煮はシンプルに昆布と鰹出汁にしました。蒲鉾の飾り切りがあると華やかなのだけど、今回はひょうたんの型抜きでアクセントをプラス
ご近所さんにお裾分け

2日目からはお皿盛りで
時々おせち以外のものも。初めてラムを焼いてみました。オリーブオイル、塩胡椒、ニンニク、セージで焼いただけのやつ、結構美味しかったらしい。肉料理は焼くだけで楽ちんですね。
3日目はミニ鮭いくら丼がメインになるくらいに、おせち全般は片付きました。

作りすぎて余った昆布巻きは、けんちんうどんにしたりして全部美味しく食べました。

エビの旨煮の頭と殻は、ネギと生姜で出汁をとって、海老そばのスープに。


黒豆はアイスクリームにのせたり、きな粉と薄力粉を煮汁で混ぜたを蒸しパン。お芋餡を添えたら立派なデザート。蒸しパンは美味しくて煮汁多めでまた豆を煮て、何度もリピしました。

新年からフードロスゼロでいい感じ!
今年も無駄なく美味しく美しい栄養満点の食卓を目指します。

2024年3月21日木曜日

年末年始旅行記 2019-20 ⑭ Jan 5

ダブリンの朝。出発日も朝焼けが綺麗でした。

サンフランシスコまでの飛行時間は約11時間。逆ルートは約9時間と、日本への移動とほぼ同じです。
帰国ラッシュはとっくに過ぎていて、空港は静かでした。いつものラウンジで朝ギネス笑

そして出国審査・入国審査(ダブリンでは事前に米国への入国審査を受けることができます)後に、最後のドラフトギネスとサンドウィッチも恒例です。
また来年!と思って飛び立ったけれど、実際は丸2年里帰りできませんでした。みんな想像もしなかったよね。
のどかな景色、そして綺麗なHaloが雲に映る


シャスタ山が綺麗に見えました。

カリフォルニア沿岸が綺麗に見えてきました。

長いサンマテオブリッジを横切って、サンフランシスコ空港に着陸、とってもスムーズでした。風が強いと結構揺れるんです。


到着エリアが激混みだったのを覚えてる。呼んだ車がなかなか来なかったな。
ということで、2019年クリスマスから2020年新年にかけての里帰り・旅行記、4年越しに完結です。タイムスリップしてくださり (笑) ありがとうございました。

2024年3月20日水曜日

年末年始旅行記 2019-2020 ⑬ Jan 4

あと2日分の下書きを書き終えたい、そして今に時間軸を戻したい!
引き続き4年前のことを振り返りますが、よかったら読んでくださいませ。

2020年1月4日。家からほど近い Sally Gap に車を走らせます。見渡す限りの荒野、アップダウンのある細い道。羊たちも囲われた農場にいる子たちよりなんだか威風堂々というか、威厳を感じます。風は強いけれど、それほど寒くはなかったかな。4年前だから記憶も曖昧(笑)





小さな湖まで歩いてみました。人っ子一人いないけど寂しい感じはしない。大自然と一体になったような、そこここに精霊が宿っているような感じさえする。聖パトリックによってアイルランドにキリスト教がもたらされる前、ドルイド教ではあらゆるものに神が宿ると考えられていた自然信仰だったから、日本の八百神信仰と似ています。自然と厳かな気持ちになる。







右下に見える大きなお屋敷は、ギネス家のものだそう

途中から低い雲が風に流されて、青空がのぞきました。道は細いけれど、見晴らしがいいのでとっても開放感が味わえて最高のドライブです。
とにかく空模様は刻々と変わります。雨がパラついてもすぐに晴れるのがいいところ。でもそれは時にすごい強風として地上を吹き荒びます。

お待ち兼ね、行きつけのパブでギネス、シーフードチャウダーとフィッシュ&チップスでお昼ご飯。お腹はギネスでゆっくりと、体は暖炉の揺らぐ火でほっこり暖まり始めます。
結構歩いたから、デザートも頼んでしまった。後悔なし!

ダブリン最後の夜は兄弟や甥っ子たちとパブで楽しくおしゃべりしました。
また来年だね〜、元気でね!と話していたこの時は、年明けにパンデミックが来るとは想像もつかなかった。ほんと、会いたい人には会える時に会っておくことの大切さを、いまここにしみじみ感じています。