2009年7月30日木曜日

病むときは、病むがよろしく候

良寛和尚の言葉だそうです。

ダニーの風邪をついにもらってしまいました。 もう5日目になりますが、治る気配なし。
今月は毎日規則正しい生活をして運動を続けていたから大丈夫!と気合を入れていましたが、風邪ウィルスのほうが強かった。熱はないものの、肺炎のように肺がずっしり重く、今まで経験したことのないような咳が出て、夜も眠れません。ダニーは東海岸への出張中にもらってきて、戻って2週間目でまだゴホゴホ。

以前は風邪などで寝ているのがとても苦痛でした。やりたいことは山ほどあるのに、時間を無駄にしているようでくやしくて苛立って。考えることは風邪さへ引いてなければ、お友達との集まりにもいけるし、予定した映画も観にいけるし、朝はいつものようにハイキングにもいけるのにと、妄想は広がるばかり。。。苛立ったところで元気がでるわけでもないのにね。

風邪ぽっちで"病むときは、病むがよろしく候”とは大げさではありますが、いつのときも、”いま・ここ”から離れてしまうと、いいことなんてひとつもないなぁ、と実感。今日は全面的に白旗をあげて、休みます。

2009年7月28日火曜日

Mishima

最近図書館によく通っています。主に新刊ノンフィクションとクラシックのCDが目的ですが、DVDの棚も時折チェック。先日、Paul Schrader監督(Taxi Driver, American Gigolro)のMishima - Life in Four Chaptersを借りました。1985年のこの作品、日本では公開されなかったそうです。日本でも三島由紀夫はある人々には神格化されていて、撮影時にもデモや抗議があったとか。資金も集まらず製作者の一人であったフランシス・コッポラ氏が”とにかく走り出すこと、必要なものは必ず後からついてくる!”と言い切って始まったプロジェクトでした。その後コッポラ氏の言うとおり、ジョージ・ルーカス氏の協力を経て映画は出来上がりました。

三島作品といえばストーリーの独自性もさることながら、日本語の美しさが印象に残ります。自らライフワークといっている豊饒の海4部作やユーモアたっぷりの小品、”三島由紀夫レター教室”なども印象深い作品の一つ。

映画は1970年11月25日の朝、幼少時代、小説 金閣寺 鏡子の家 奔馬、そして自決へと4つの章で三島の作品と人生を描いています。緒方拳扮する三島は肉体改造も半端じゃなく、その他も豪華キャスト。三島の祖母が加藤春子、母が香川京子、小説シーンでは坂東八十助、沢田研二、佐藤浩一、勝野洋、永島敏行などが登場。キャストもさることながら、強い印象を残したのは石岡瑛子氏のセットデザインでした。当時グラフィックデザイナーとしての経験しかなかった石岡氏は、苦労しながらもコンセプトを監督や撮影責任者と話し合い、セットはモデルを作りながら、一つ一つ案を形にしていったそうです。金閣寺は本物そっくりの模型を金をふんだんに使って仕上げ、周りは能舞台を思わせるシンプルながら荘厳な設定。鏡子の家は、アメリカ文化の薄っぺらい部分から吸収しはじめた戦後の日本、奔馬では、主人公の勲と中将が密談するオフィスの壁は白一色で天井からのライティングがハリのある立体感と奥行きを作り出していて見事です。

幼少時から文化に親しみ、学校も優秀な成績で卒業し、川端康成に見出され、若くして天才小説家とうたわれ、作品は海外でも高い評価を受けた。外国語を流暢にあやつり、高い美意識で美しいものに囲まれて、弱々しかった自分の肉体まで憧れのローマ彫刻のように作り上げた彼。

映画は奔馬の主人公の自決場面が三島と入れ替わって終わるのですが、彼が自衛隊の市谷駐屯地で最後に何を感じたのでしょう。

2009年7月26日日曜日

自然調味料

先日の瞑想リトリートで見かけたこの調味料。自然派レシピにもちょくちょく登場して、興味をそそられていました。近所のマーケットで買って早速味見を。www.bragg.com/products.la.html


遺伝子組み換えでない大豆から作られたというこの調味料、16種類のアミノ酸を含み、添加物・保存料・合成調味料・着色料・アルコール無添加だそうです。発酵なし、熱も加えてなし、グルテンもなし。


どんな味?わくわくしてそのままでちょっとなめてみました。色は薄いしょうゆっぽい色。味は、知る人ぞ知るマーマイトを薄めたような味。大豆の味がしっかりします。あえて言えば、味噌の上にたまる上澄み液のような感じ。そのままだと結構濃い味なので、お湯で薄めてみたら、お吸い物やうどん汁にもいけそうな白だしっぽい味になりました。

ちなみに、マーマイトとはビール酵母から作られたペーストで、ビタミンBを多く含む食品です。茶色で独特のにおいがあり、塩気もかなり強いのですが、トーストにうすく塗って食べるのが一般的な食べ方。イギリスでは古くから食されていて、クセのある味ながら子供にも人気です。イギリスに住んでいたとき日本からのゲストに試してもらいましたが、かなり悪評。見かけがチョコレートペーストなのに食べてみたときのギャップもあったと思われます。日本で健康食品として人気があるエビオス錠剤と同じ味。私は子供のころにエビオスが大好きでねだってポリポリ食べていたそうなので、マーマイトは初めて食べたときから大ファンとなりました。

ダニーに試してもらったらイースト系の味(これはマーマイトと同じ)もするけどビーフコンソメのようだと。私はどちらかというと昆布系グルタミン酸のうまみを感じたのですが、肉を食べる人にはイノシン酸系のうまみとして感じられるのかもしれません(かつお節のうまみもイノシン酸系ではありますが)。いずれにしても、大豆・無添加自然調味料でこの味の深みが出るとは、正直驚きました。今後いろいろなレシピに活躍してくれそうな予感です。

スイーツ三昧

先日近所のカフェに、前々から目をつけていたエクレアを食べにいきました。さすがアメリカサイズ。うーん、お味は。。。繊細さを追求してはならないとわかってはいたものの、皮はごわごわとあつく、中のクリームも上のチョコも、砂糖がたっぷりの固めのもので、ちょっとがっかり。中学のころ、田村魚菜先生の"すてきなお菓子”を見て作ったおいしいシュークリームが思い出され、もうこれは自分で作るしかないね、と思いました。

この本には思い出があります。まだ小学校低学年のころ、近所の回覧板でこの本とお惣菜の本の売り出し案内が回ってきました。いつもは見もしない回覧板になにやらカラフルな写真が!と見ると、夢のような色とりどりのお菓子の写真が表紙の本の案内が。ねだってねだって、当時3000円もしたハードケース入りの本を買ってもらったのでした。最初に作ったのは、ビクトリア・クッキーという名前のクッキー。絞り袋にいれてS字型に絞って焼いて半分チョコソースにつけて模様をつける、というかなり工作気分を味わえるもの。色は地味ですが、その写真からは、バターの入った焼き立てクッキーの香りまで漂ってくる気がして、迷わず挑戦。しかし、初めての試みは失敗。生地がゆるくて、ヨックモックのランクドシャみたいに。。。味はさくさくで、口の中にとろけるおいしさでしたが、あの形が作りたい!よし、もう一度!と挑戦しました。

2度目も無残に失敗。。けなげな小学3年生は、魚菜先生に手紙を書きました。夢の本を手に入れて、このクッキーをどうしても焼きたい!何がいけないんでしょうか、アドバイスお願いしますというような内容だったと思います。しばらくして、手紙と小荷物が送られてきました。手紙には、クッキーのレシピは印刷間違いで分量が間違っていたとのお詫びの手紙と魚菜銘入りの包丁が一本送られてきたのでした。

ホームスタイルのスイーツといえば、私のイチオシはイギリスでよく作ったカスタードものです。特にルバーブ&カスタードはお気に入り。ルバーブとはタデ科の多年草で和名はショクヨウダイオウというそうです。漢方の大黄(だいおう)に近い種類でお通じにも最適。茎の部分を食べます。見た目はフキのお化けみたいな感じ。イギリスでは雑草のように普通の家に生えていたりしました。味は青りんごのようにすっぱくて、あんずににた香りも。茎をざく切りにして、砂糖と水を少し入れて鍋で5分も煮ると、やわらかくなり、それを煮込んでジャムにしたり、パイの中身にしたり、いろいろ活用できます。


ホームメードのカスタードは卵黄一個につき、クリームと牛乳を半々に合わせたもの100mlが目安。

砂糖はお好みですが、卵黄一個につき20グラムほど。黄身と砂糖を混ぜ合わせて、温めたクリーム&牛乳の中に加えて、煮詰めて出来上がり。バニラビーンズがあれば、クリームと牛乳に30分以上つけておくと風味が抜群です。4個分のカスタードを作りました。

もう一品、ブルーベリー・クランブルを作ることに。クランブルもイギリスのおうちスイーツ。冷えたバター、小麦粉を手でぽろぽろになるまで混ぜて冷蔵庫またはフリーザーで寝かせて、砂糖をまぜて、フルーツの上などにかけて焼きます。ブルーベリー400gには砂糖と小麦粉大さじ各1をまぶしておきます。


卵白が4個あまったので冷凍することに。卵白は冷凍しておくと、えびを炒めるときにからめたり、スープに落としたり便利です。

ダニーが風邪っぴきでうちにはお招きできないので、ルバーブ・カスタードとブルーベリー・クランブルをお皿に盛り付けて、近所のともこさんちへ出前しました。そしたらともこさんも、先日のカフェでの体験から、シュークリームをはじめて手作りしたとのこと!それもいただいて大満足の午後となりました。



さて、帰ってきてから、アーモンドミールを使ったクッキーを焼きたいなぁ、と思っていたら、簡単そうなレシピが見つかりました。それが卵白3個を使うので、冷凍した卵白3個分(ちょうど3個と1個に分けて冷凍してありました!)を解凍して、夕食前にもう一品デザート作り。マカロン風でちょっと中身がやわらかなとてもおいしいアマレット・クッキーができました。お試しあれ。

アマレットクッキー (30個分 - カップはUS用なので250mlです)
  • アーモンド・ミール 2 1/2 cup
  • グラニュー糖 1 1/4 cup
  • 卵白 3個分
  • アーモンドエッセンス 小さじ1
  • バニラエッセンス 小さじ1/2
オーブンは300F(150C)に温めておく。
アーモンドミールとグラニュー糖をフードプロセッサーでよく混ぜる。
エッセンス類を加えて、さらに混ぜる。
卵白を一個分づつ加えて、プロセッサーでよく混ぜる。
オーブンシートを敷いた天板にスプーンでタネを乗せる。
24-30分焼いて出来上がり。(中身がよりしっとりがいい場合の焼き時間は20-24分)


甘いものがそれほど好きでないダニーもお気に入りのクッキーができました。

2009年7月21日火曜日

Emotions Island

瞑想リトリートで先生から聞いた話です。

昔々あるところに 感情 の島がありました。その島には、人間の気持ち-幸せ、喜び、悲しみ、自慢、虚栄、愛などが住んでいました。ある日その島は沈んでしまうことになりました。さあ、大変!感情たちは逃げるために船を用意しはじめました。愛だけは、島の最後を見届けようと島に残りました。いよいよ島が沈み始め、水がどんどん迫ってきます。そろそろ逃げないと、と愛は助けを求めて周りを見回しました。成金が大きな金ぴかの船で通りかかったので、愛は、「成金、乗せてくれない?」と頼みました。成金は「だめだね、船は金塊やお宝で一杯さ。きみを乗せる場所はないよ。」といいました。次に虚栄の美しい船が近くを通ったので、「虚栄、助けて!」と愛は頼みました。虚栄は、「あら、いやよ。あなたびしょぬれじゃない。私の船が汚れてしまうもの。」と通り過ぎてしまいました。悲しみの船が近づいてきたので、愛は「悲しみ、乗せてよ。」と頼みました。悲しみは、「こんなことになって悲しすぎるから、一人でいたいんだ。」といって、とまってくれませんでした。次に幸せが通り過ぎたので、愛は「幸せ、ここだよー、助けて!」と叫びました。しかし、幸せはあまりにも幸せではしゃいでいたので、愛の声に気づきませんでした。愛が途方にくれていると、「愛よ、乗りなさい。」と声をかけてくれた船がありました。「ありがとう!」と愛は、間一髪で沈みゆく島から飛び乗りました。それは長老の船でした。やがて船は荒涼たる土地に着きました。愛は船に乗せてもらえたのが嬉しくて、どの長老が声をかけてくれたのか気づきませんでした。近くにいた知恵に愛は「私を乗せてくれたのは誰ですか?」とたずねました。知恵は「時間だよ。時間だけが愛の本当の価値を知っているからね。」と答えました。

最近の一押し赤ワイン

ワイン好きと申告していながら、Wineに関するエントリがほとんどないのに気づいた今日。こりゃいかん、とあわてて最近のおすすめについて書いています。


Fleming Jenkinsの"Choreography" 2004. このワインには近所のバーで出会いました。ラベルが印象的で、値段も知らずオーダーしたのですが、後に一杯18ドルのお値段にびっくり!でも十分価値はありました。
フレミング・ジェンキンスのワイナリーはサンタクルーズマウンテン南のロス・ガトスにあります。コリオグラフィー(振り付け)の名前の由来は、オーナーの一人、ペギー・フレミングさんは1968年冬季オリンピックのフィギアスケートゴールドメダリスト。ラベルの流れるようなシルバーの線は、リンクをすべるスケートの後をイメージしています。ロス・ガトス市内のテイスティング・ルームには、彼女がオリンピックで来たユニフォームも展示してありました。
Cabernet Sauvignon 78%, Cabernet Franc 12%, Merlot 9%, Malbec 1%メリテッジ。Choreographyに使われるすべてのぶどうはNapaで収穫しているそうです。最初に印象的だったのが色。リッチなルビーに濃い紫の影が宿るような魅惑的な色。香りはブラック・チェリー、ラズベリー、黒すぐりの香りに上質のダークチョコのようなちょっと甘い香りが加わってモカっぽい。二口目にはほんのりとした黒こしょうの風味も感じられ、フレンチ・オークの樽で20ヶ月寝かされた味の深さを感じます。

小売$50。日本に持って帰ったときもワイン通の友人に大好評でした。チーズやナッツと一緒にワインをメインにゆっくりと味わいたい、そんなときにおすすめです。

2009年7月20日月曜日

いまここ 食べ物編 No.4

家にあるもので、と思って作ったパスタがおいしかったのでご紹介します。

えびとアルグラのレモンソースパスタ (一人分)
  • お好みのパスタ
  • 赤玉ねぎまたはシャロット みじん切り大さじ1-2
  • にんにく 1片 みじん切り
  • オリーブ・オイル 大さじ1
  • 赤とうがらし 少々 お好みで
  • レモン 半分から1個 お好みで 皮をすりおろして汁を絞っておく
  • えび 6-10尾 お好みで
  • アルグラ 一掴み
  • チェリートマト 数個
  • バジル、パセリなどのハーブ

1.オリーブオイルとレモン皮のすりおろしを混ぜておく。

2.赤オニオンかシャロットのみじん切りをオイル(分量別)で2-3分いためる。

3.にんにく、えび、赤とうがらしをいれていため、レモン汁を加え、塩、こしょうで味を整える。えびに火が通ったら、1を加える。

4.3にパスタと茹で汁(大さじ2-4くらい)を加えて、アルグラ混ぜてしんなりしたら、半分に切ったチェリートマト、パセリ、バジル少々をのせて出来上がり。


レモンの風味がとってもさわやか。レモンの皮は白い部分まですると苦くなるので、表面を使って。今回皮は一個分、汁は半分使いました。ハーブは家のプランターで育てているパセリとバジルを使いましたが、ローズマリーやチャイブも合いそうな感じ。お気に入りのレストラン、Lavandaでいつか食べた、かに肉とレモンガーリックソースの冷製カッペリーニを思い出して作ってみました。ソースにワインを加えてもいいかも。

プリプリのえびがおいしい!火を通し過ぎないように。

2009年7月19日日曜日

Farmer's Market

パロアルトでは、晩春から初秋にかけて土曜に朝市が立ちます。普段は何の変哲もない駐車場が、朝からお昼まで、野菜、花、パン、豆腐、パテ、蜂蜜、クレープなどを売るお店が出るマーケットに変身。時にはライブミュージシャンがいたりして、結構な賑わいを見せます。旬の野菜や手作りお惣菜を手に入れるには格好の場所。


色とりどりのChard ちょっと苦味があって歯ごたえもあり炒め物にもgood

このエアルーム・トマトは種から自分で作って、昨日摘んだばかりよ!と誇らしげに言う農家の人や、この時期はアルバイトなのか高校生くらいの若者が一生懸命売り込んでいるお店や、ミツバチの帽子をかぶって蜂蜜を売っている名物おじさんのお店など眺めながら、今週は何をどう料理しようかな?と考えながらぶらぶらします。



葉っぱつきのビーツ、3株で2ドル

ここは我が家に遊びに来る友人、家族たちにも人気。たいてい一度はお昼を名物のクレープ屋さんでテイクアウトして食べます。甘いデザート用クレープもありますが、そば粉で焼いて中にチーズや野菜、かに肉、ハムなどを詰めたお食事クレープが好き。特にたっぷりのかに肉、アボガド、パプリカ、ほうれん草、チーズなどをはさんだ”Crab"がおいしい!一人だと結構量が多いので、ダニーが出張中の今回はパスしました。朝早かったので行列はできていなかったけれど、いつもはかなり並びます。3台の焼器を双子の女性が操って見事なクレープを次々と焼いていくさまは見ていても気持ちよいもの。レストランからの出張店舗なのでお味も本格的です。

結局、大根、なす、ビーツ、エアルーム・トマト、紫・緑・赤のパプリカを購入。紫のパプリカは火を通すと黄色になるそうなので、サラダにいれて食べてみようかな。

2009年7月18日土曜日

いまここ 食べ物編 No.3


お友だちのえみさんがお昼に遊びに来てくれました。暑い日が続いているので、涼しげな色と香りのおもてなしをと思い、夏野菜の冷菜を多めに。

もやしと若布の胡麻ドレッシング和えや最近好きなきゅうりとにんじんの甘酢漬けのほかに、生姜も前日から漬けました。もろきゅうもどきですがちょっと工夫して、きゅうりの真ん中をくりぬいて、金山時味噌、麹味噌、八丁味噌をつめました。これがなかなか!後は長いもの納豆昆布のせと春菊の芥子おひたし。とった八方だしに練り芥子を溶かしてみたら、春菊の苦味とよく合いました。基本の八方だしを覚えておけばいろいろ使えて便利です。小皿を並べて、木曾の純米酒で週末の始まりに乾杯!

八方だし おひたし4人分 材料は一度煮立ててからさまして使います。
  • だし 1/4 カップ
  • 酒、みりん、しょうゆ 各大さじ1

メインは五目寿司。しいたけとかんぴょうを煮て、お酒を入れて昆布をのせて炊いたご飯でおいしい寿司飯ができました。にんじんはお酢、砂糖、少々の塩で煮て、さやいんげんをさっとゆでて、錦糸卵と茹でえびをちらしてできあがり。

お吸い物は、しめ卵と湯葉。しめ卵とは、溶き卵に塩としょうゆ少々をいれて熱湯に流して浮き上がったらすくって巻きすで巻いて形を整えるというもの。湯葉に隠れて写真では見えませんが、形状はふわふわのミニだしまき卵のような感じ。落とした卵が全部すくえなくて、ちょっと残念。かき玉にすれば無駄なくいただけるのですが、湯葉とあわせるにはお互い広がりすぎてしまうかなと。アクセントに茗荷かみつばがあれば嬉しいところでしたが、手に入りませんでした。代わりに葱の青い部分を細くきって浮かべました。

失敗は飾りきゅうりを作っておいたのに、のせるのを忘れたこと。。。うすく輪切りしたきゅうりのタネ部分を抜いて、一枚に切り込みを入れて、2枚を鎖のようにつなげます。いろいろな飾りに使えそうで便利!お楽しみ会で作った色紙のわっかを思い出しました。

和食文化に生まれ育ったこと、一緒に楽しんでくれるお友だちがいること、時間を忘れる弾む会話、ベランダで風にそよぐ木々を眺めながら飲むお茶。すべてに感謝の午後でした。

2009年7月16日木曜日

From Velvet Easter to Ocean Drive

霧の中を歩くと、どういうわけか、ユーミンのこの曲が頭の中に流れてくる。歌詞では小雨の朝だけど私のイメージは霧。"♪空がとってもひく~い~、天使が降りてきそうなほど♪”というところで霧なのか。



6時半に家を出て向かった今週2度目のWindy Hill、ふもとから中腹までは深い霧の中。野うさぎの赤ちゃんがあちこちぴょんぴょん飛び跳ねている。



登り続けると、少しずつ霧が薄くなっていく。後ろを振り返ると雲の海。遠くにMt. Diabloが見える。1200m弱の山だが、その一種威厳のある姿はベイエリアのどこからでも見ることができる。


半分ほど登るといつもとおりの光に満ちたトレイルが広がる。後ろは見渡す限りの雲海で、とてつもなく高い山に登ったかのような錯覚を覚える。以前、穂高縦走した際に登った槍ヶ岳頂上からの景色を思い出した。


頭の中の音楽がユーミンからLighthouse FamilyのOcean Driveへ。"♪Sun's gonna shine on everything you do♪" のサビへ切り替わった。霧の中にいると忘れることもあるけれど、雲の上はいつも太陽が輝いているんだと。

2009年7月15日水曜日

いまここ 食べ物編 No.2

食日記と化している今日この頃のいまここ・らいふ。
日本の古きよき味を!と急に思い立っておからを炒ったり、ひじきを煮たり、日本のきゅうりとにんじんを甘酢漬けにしてみたり、長いもの三杯酢を作ってみたり。それも3ヶ月味噌汁を食べてないなぁと遠い目をして言った、ともこさんの一言がきっかけでした。
きゅうりとにんじんの甘酢漬け。すぐでも、日にちを置いてピクルス風にしてもよし!セロリも美味です
おからとひじきもおいしく炊けました!
考えてみれば、私はどこに住んでも味噌汁は作っていました。8年間のロンドン生活でも自分でうどんを打ったり、どら焼きをやいたり、饅頭を蒸したり、五目寿司を月一度は会社に持っていってみなでお昼に食べたり、手作り餃子パーティを開いたり。日本食命!というほどではないし、みなが好きな寿司ネタの大トロや雲丹は大の苦手だし、白身魚は好きだけどふぐはそんなに好きじゃないし、肉は一切食べないし、日本食と自分のコネクションは普通だと思っていました。しかし、気づくといろいろ手作りしていて、その手間ヒマを楽しんでいる自分がいました。それってかなり入れ込んでいるってこと?
何よりも嬉しいのは、おいしい!と喜んで食べてくれる人が身近にいることです。
お味噌汁はじゃが芋と絹さや。長いもにはともこさんからもらった納豆昆布を添えて三杯酢を
しいたけと昆布も煮て蓋物へ 濃い口しょうゆが切れたので色は薄めの仕上がり
ともこさんもとても喜んでくれたし、ダニーの一番の好物は銀鱈の西京焼きです。西京味噌とお酒を混ぜた味噌床にガーゼを敷いて銀鱈を包んで2日ほど漬け込みます。魚焼き器がないのでオーブンで焼きますが、味噌の香ばしい香りがなんともいえない!この味がわかるってかなり日本食上級だと思ってダニーの味覚芽に感心しています。納豆は苦手だけど、懐石から肉じゃがやキンピラやもんじゃ大好きなダニー。こんな味のわかるだんなを持って、はい、わたくしは幸せ者でございます。

2009年7月14日火曜日

いまここ 食べ物編

最近、私の”いまここ”は、なぜか、もっぱら食べ物に焦点があたっています。色とりどりの夏野菜の誘惑には勝てません。

夏の定番、カプレーゼ・サラダ。エアルームトマトという品種改良していない、色も形もさまざまなトマトを使うと、見た目も楽しく味にもバラエティが生まれます。トマトの輪切りに岩塩を少々振り、モッツアレラチーズ、バジルをのせて、上質のEVOO(エクストラバージンオリーブオイル)とバルサミコ酢、岩塩、黒こしょうで。うーん、キリッと冷えたSauvignon Blancがあればいうことなし!

また暑い時期には火を使わないロー・フードも嬉しい味方。Raw foodとは、新鮮で精製されていな有機栽培の野菜・果物・木の実・種子などを40度以上に熱することなく作った食べ物のこと。調理しないので水分が豊富、食物繊維も破壊されず、おなかの掃除にもよし、コレステロールや精製された砂糖などのカロリー元とも無縁ということで、注目を集めています。

私はご飯やトルティア、パスタ、ピザなども大好きなので、いつも実行するのは難しいけれど、暑い=サラダで済ませていたところを一工夫してraw foodを作ってみることに。近所のオーガニックスーパーの雑誌に載っていたタコ・ラップのレシピを試してみました。タコはレタスで、フィリングの肉やチーズはナッツで作ります。

カシューとコリアンダーのチーズ
材料(1カップ分)
  • にんにく 2片
  • 海塩 小さじ1/2
  • カシューナッツ 1カップ
  • レモン汁 大さじ2と1/2
  • コリアンダーの葉 1/4カップ
  • 水 1/4カップ

にんにくと塩をフードプロセッサにかけ細かくしたら残りの材料を混ぜて再びフードプロセッサにかける

くるみのミート

  • くるみ 1カップ
  • クミンパウダー 小さじ1と1/2
  • コリアンダーパウダー 小さじ1と1/2
  • *自然調味料 小さじ1/2

*自然食品店で売っているうまみ調味料。瞑想リトリートにもありました。興味はあったけど試してみなかったからどんな味だか?今回は手に入らなかったので省略。次回試して報告します。

すべてを混ぜてひき肉状になるまでフードプロセッサにかける。細かくしすぎないように注意。ロメイン・レタスの筋の部分に大さじ2のチーズを広げ、同量のくるみミートを載せる。別途用意したサルサとアボガドスライスを添える。

ナッツのうまみとコクがよい!ひと手間かけるだけで、ただサラダにナッツを振るのとはまったく違う世界になるんですね~。写真撮るのを忘れた。。。暑さでぼけたようです。

サンフランシスコに大好きなVegetarian Restaurant "Millennium"があります。http://www.millenniumrestaurant.com/ そこの料理を思い出しました。この夏はraw foodレシピを勉強しようかな。

2009年7月13日月曜日

朝のハイク

今日は近所のお友達、ともこさんと朝7時にハイキングに出発しました。場所はおなじみのWindy Hill。はじめてのともこさんは、嵐が丘みたい!と楽しみな様子。ちなみにブロンテ作の嵐が丘は原題でWuthering Heightsといいます。ともこさんとは先月やったヤード・セールでお知り合いになりました。徒歩2分のところにお住まいで、つい最近、ヨセミテのハーフ・ドームの頂上で結婚式を挙げたという新婚さん。毎年ハーフ・ドームには登るというので、来年はご一緒したいです。
7時30分には登り始めて、月曜の朝なのに結構な数の人とすれ違いました。降りてきた人たちは会社前にひとハイクだったのかも。今日も青空が高く、バレーは少々霞がかかっていましたが、遠くサンフランシスコの街並みも見えました。



降りてきたのが9時40分。まだまだ朝なのにすでにかなりの達成感で二人ともにんまり。10時過ぎに家について、それぞれシャワーを浴びて一息ついた後、うちで早めのお昼を食べました。

野菜のロースト&クスクスのトマトソース添え。赤・緑ピーマン、ズッキーニ、なす、赤玉ねぎ、にんにく、マッシュルーム、ブロッコリ、カリフラワーをオリーブオイル、オレガノ・タイム・バジルなどのハーブとともにローストします。はじめの10分はホイルをかけて蒸し焼きに、その後ホイルを取って15分くらいでこんがり焦げ目をつけます。ホクホクに甘いにんにくのかたまりがたまらん!
トマトソースはにんにく、玉ねぎ、セロリ、チリのみじん切りをオリーブオイルで金色に香り立つまで炒めて、プラムトマト、オレガノを入れて気長に煮込みます。ソースというよりペースト状になるくらい煮詰めると美味。クスクスは同量のストックにローズマリーを入れて煮立たせた中に入れて蒸します。簡単、色・味よし、そして栄養抜群。夏場には欠かせない献立のひとつです。ラタトゥイユの凝縮版という感じ。
さて、このディッシュやカレーなど御飯やクスクスなどと一緒に食べる具、どう盛り付けますか?私は断然サイド・バイ・サイド派。御飯やクスクスと具の部分を少し重ならせても、重ならない部分も作って、それぞれの味を楽しむのが好きです。トマトソースも上に全部かけるのではなく、添える感じで野菜だけにつけたり、クスクスだけにつけたりしてそれぞれの味を楽しむのが好き。そう話したらともこさんもまったく同じ考えでうれしや!ダニーは何でもオン・ザ・トップ派なので、派閥に一票もらった気分(笑)。
デザートは最近はまっている黒糖寒天。先週から何度か作ってダニーもお気に入りです。寒天を煮溶かし、温めた牛乳と黒糖を加えて冷やし固めて、好みで黒蜜とコンデンスミルク、黒胡麻きな粉をかけていただきます。昨日無性に黒蜜の味が恋しくなって手作りしました。牛乳と生クリームもあまっていたのでコンデンスミルクも作りました。黒糖寒天は舌触りも見た目も葛餅のようで、きな粉と黒蜜が加わると味は甲州名物”信玄餅”に。ともこさんも気に入ってくれました。そば茶とともに、しばし日本のひと時。
ランチ・デザートをゆっくり楽しんでも時計はまだ午後2時。早起きは三文の得!を体感した充実した一日でした。

2009年7月11日土曜日

雲のなまえ

今日からダニーは東海岸へ一週間の出張。

7時半に空港に降ろして、帰り道の空を見上げた。
最近は朝から快晴が続いているが、今朝は青空一面にうす雲が広がっている。
えーと、これはたしかいわし雲っていうんだよなぁ。と思いながら、英語で雲に俗称はついているのかな?と思った。絹雲(cirrus)とか真綿のような(puffy)雲などの表現はあるけれど、いわし雲、さば雲、うろこ雲などといった表現は、魚を食べる日本ならではのよう。日本でも言うけど、アイルランドならpuffy cloudをひつじ雲っていうのかな。ダニーが帰ったら聞いてみよう、とふと思った。

2009年7月10日金曜日

Beethoven

ここ1ヶ月ほど、なぜかベートーベンが聴きたくて、交響曲、弦楽四重奏、ピアノソナタなどをその時々の気分で楽しんでいる。9つの交響曲の中で一番好きなのは7番。第二楽章のオープニングのチェロの音色はすばらしい。後期の弦楽四重奏も聴くたびに新しく心に響く場所が見つかる。

昨晩は、James Gaffiganの指揮するSan Francisco Symphonyとアメリカ人若手ピアニスト、Jeremy Denkによるピアノ協奏曲5番"皇帝”と交響曲5番"運命”を聴いた。指揮者もピアニストも若くて、元気はつらつ。交響曲の最終楽章では指揮台の上で嬉しそうにぴょんぴょん飛び跳ねていて、こちらも笑みが漏れた。人気漫画シリーズの"のだめ・カンタービレ”を読んだ人なら、キャラクターの一人、片平を思い出した私の気持ちもわかってくれるだろう(笑)。

"運命”のあの有名なジャ・ジャ・ジャ・ジャーンというパターンは、モールス信号でVをあらわすそうで、第二次世界大戦の勝利国は5番を勝利のシンフォニーと呼んだとか。

初演奏は1808年12月22日。それまでのベートーベンの作品のみならず、デリケートな旋律で始まる交響曲が主流だった中で、あのインパクトの強いオープニングを聴衆はどう受け止めたのかな、などど想像するのも楽しい。

2009年7月8日水曜日

ビーツが食べたい!

たまに、いま”これ”が食べたい!と思うものってありますよね。

私にとって、今日の”これ”はビーツ。赤カブににていますが、ほうれん草と同じ仲間だそうです。ロシア料理のボルシチに使われる濃い赤紫のものが主流ですが、他に白、金色のもの、サイズも親指頭くらいからこぶし大までいろいろです。旬は初夏から冬にかけて。まさに、”いま”の恵みを体が欲しているという感じ。

早速新鮮な野菜を売っているマーケットへ。葉っぱつきのものがなかったので、丸くて、傷がなく、実が引きしまった、子供のこぶし大のビーツを3つ買いました。お値段は160円ほど。

リコッタチーズと混ぜてラビオリ、ニョッキもいいかな? 他の野菜とオーブンで焼いて、クスクスやサフラン・ライスを添えて食べる? でも今回はビーツの土っぽい味を存分に楽しむためにシンプルなサラダにしよう。

ビーツは酸味とよく合います。、ドレッシングはイギリスの料理研究家、Delia Smithのレシピが万能で気に入っています。普通のサラダ用にはにんにくたっぷりが美味ですが、ビーツの風味を損なわないよう、今回はすこしひかえめに。

アルグラとビーツをたっぷり。パープル・リーフ・レタス少々、くるみ、フェタ・チーズを混ぜて、オレンジのスライスとラズベリーを添えて、いただきます!


バルサミコドレッシング
  • 岩塩 小さじ1
  • にんにく 1/2または1片
  • マスタードパウダー 小さじ1
  • バルサミコ酢 大さじ1
  • 黒こしょう 少々
  • オリーブ油 大さじ6

岩塩とにんにくをスパイス用すり鉢で練り、マスタードパウダーを加え、酢、油をよく混ぜ合わせる。

2009年7月7日火曜日

Spirit Rock

瞑想リトリートに行ってきました。Golden Gate Bridgeを渡って1時間弱北に行ったところにあるSpirit Rock Meditation Centerは、さまざまな瞑想プログラムを提供している団体で、企業や個人の寄付で運営されています。丘に囲まれた自然豊かな敷地内には瞑想ホール、ヨガスタジオ、食堂、宿泊コテージ、事務所、本屋などがあり、落ち着いた雰囲気のなかで瞑想プラクティスに励むことができます。
2年前に参加した友人の話を聞いて以来興味を持っていた今回のプログラムは”People of Color Retreat"(POC)というもの。参加資格は白人以外で抽選での参加になります。それって差別じゃない?と思われるかもしれませんが、通常高価な瞑想合宿を多くの参加者に門戸を広げるという趣旨で始まったそうです。当選した参加者はお布施としてできる範囲での寄付が求められます。約80名の参加者は多くはサンフランシスコやオークランドにある瞑想センターに通っている人たちで、遠くはロンドンから来た人もいました。

到着してすぐに感じたのは、場の空気のやわらかさ。ただ自然豊かな郊外というだけでない、”何か”が確かにそこにはありました。チェックイン時に各自は日々のお勤めの割り振りを受けます。初日は夕食が6時。仕事の説明とトレーニングを受けた後、一切が沈黙となります。

提供される食事は三食とも完全な自然菜食です。朝はオートミールやKamutと呼ばれる小麦の一種にプルーン、無花果、りんごなどをシナモンスティックと煮込んだコンポート、ヨーグルト、ナッツ、新鮮な果物。昼が一番ボリュームがあり、新鮮な野菜と豆のサラダやスープ、スパイスやハーブをふんだんに使ったカレーやドレッシングなど。毎回すばらしくおいしい料理をいただくことができます。初日の夜はレンズ豆をにんじん、玉ねぎ、セロリ、ハーブと煮込んだシチュー、ミントとにんにくが利いたグリーンピースのディップ、焼きたてのパン、ディル・バター、グリーンサラダにローズマリーのドレッシングでした。

初日夜8時に瞑想ホールに集合。八角形の板張りのホールは天井が高く天窓もあり、明るく開放された雰囲気です。正面と背後に仏壇があり、正面の高座には4人の先生が座ります。先生もみな白人以外でネパールで修行したウガンダ人のお坊さん、ハワイ出身で韓国禅宗の修行を受けた日本人、日本人とメキシコ人のハーフで合気道や真剣使いも教えている先生、メキシコ系アメリカ人で世界中のリトリートを廻っている先生など経験もバックグラウンドも豊富な人たちでした。座布団やクッションもいろいろな形のものが用意されていて、自分の座る場所を選んで5日間同じ場所で修行します。

5泊6日の修行はすべて沈黙の中で自分を見つめるものです。5時45分起床、6時15分から45分瞑想、朝食、お勤め、また瞑想。私の仕事はFood Finisherと呼ばれ、ビュッフェスタイルに並べられた食べ物をキッチンに下げ、それぞれの場所に戻したり簡単な洗い物を担当するものでした。

着座瞑想以外にヨガや歩行瞑想の時間があり、夜は一時間先生の講話をいただき、午後9時半就寝です。毎日9時間ほど瞑想していたことなります。その間始終沈黙。瞑想中はもちろん、食べる行為、ドアの開け閉め、一挙一動はすべて注意深く、mindfulnessのなかで行われます。

歩行瞑想とは一歩一歩、呼吸をベースに体の動きや周囲に気を配りつつ、動きながら行う瞑想です。敷地内の遊歩道やトレイルの狭い道で人とすれ違うときも、目はあわせず合掌して譲り合います。山道では鹿の親子にや野生の七面鳥に何度も出会いました。空を見上げれば鷹が大きく弧を描き、鳥のさえずりは一日中穏やかです。
5日間も人と話さないなんて!と驚く人が多いかもしれません。しかし言葉だけがコミュニケーションの手段ではないことを体感しました。自分を外に向けて表現することのない世界。言葉を使わずに互いを尊重しあう空間には自然な安らぎがありました。

疑問・質問は先生やマネジャーに紙に書いてボードに貼れば、すぐに答えが戻ってくるので不便はありません。紙の限られたスペースに書く質問や答えは必然とシンプルで的確なものになります。 グループインタビューと先生と個別面談も行われ疑問に思ったことの教えを受けることができます。

いろいろな発見がありました。あるセッションは集中して短く感じた一方、あるセッションは体の痛みばかりに気を取られました。ある誘導瞑想では、先生が心を空にたとえ、際限なく広がる心からのコミュニケーションは時空を超えると説くのを聞きながら、過去の自分と対話しそのときに感じた痛みを手放すことができました。

つい厳しくなりがちな自分への声。誰もがそんな声を聞いていると思います。「もっとうまくできるでしょ、頑張って!」「また失敗した。どうしてそうなの?」「やっぱりあなたはだめじゃないの」。その声は「あなたならもっとうまくできるはず」という愛の鞭である一方、ありのままの自分を受け入れるというやさしさに欠けています。私はこの声をずっと「コーチ」と呼んでいました。この「コーチ」のおかげで達成できたことは山ほどあります。でもコーチは今まで、「よくやった、それでいいよ」と声をかけてくれたことはありませんでした。今回の体験を通して私は、コーチに心から感謝するとともに、少しお休みを取ってもらうようお願いしました。そして心の中の親友、もう一人の自分の声に耳を澄ませることを学びました。

またMetta瞑想も新たな学びでした。パーリ語のメッタは愛とやさしさと訳され、執着のない無償の愛の分かち合いの実践を説きます。万物の平和、幸せ、安全、健康の祈りをパーリ語で唱えていくうちに、自分自身の変化にも気づいていきます。
「生きる」、という谷川俊太郎の詩を思い出しました。「いま生きていること」は、移り変わる自分や周囲の状態や気持ちを受け止め、認識し、裁きなしに、執着せず、手放すということの繰り返しなんだなぁとあらためて思いました。日常レベルで実践するのは簡単ではありません。考えてみれば、常々"ここでないどこか”や"いまでないいつか”を求めていた自分がいました。そのことに気づいたこと、そしてそれを批判することなく手放すことが大事だとわかったことが最初の一歩で、一番の収穫だったように思います。