ある晴れた金曜日、友人夫妻とサンフランシスコのツアーに参加しました。
このツアーは、地元紙のベスト・ウォーキング・ツアーにも選ばれた知る人ぞ知るウォーキング・ツアー。約2時間で主にフィナンシャル・ディストリクトの数ブロックにあるポポスと呼ばれる公共施設や歴史あるビルをを歩いて回ります。
サンフランシスコは1848年に始まったゴールドラッシュで一気に人口が増えました。移民も増え始め、1848年から1849年の一年間で人口は1000人から25000人に膨れ上がりました。
1906年4月の地震、火災でかなりの打撃を受けたものの、前、後の町並みの写真を見せながら説明してくれます。
1917年に建てられたHallidie Buildingは鉄のフレームにガラスをはめ込んだ”ガラスのカーテン”と称する壁を使ったビルです。透けて見えない外壁が当たり前だったスタイルから、中が見えて反射するガラスを壁に使うことで革新的な変化を建築様式にもたらしました。
名作映画"マルタの鷹”の主人公、私立探偵サム・スペードが事務所を構えた111 Sutterビルは24階建て。1926年建設当時は最も高いビルのひとつで唯一New Yorkの建築会社によってデザインされたものだとか。
名作映画"マルタの鷹”の主人公、私立探偵サム・スペードが事務所を構えた111 Sutterビルは24階建て。1926年建設当時は最も高いビルのひとつで唯一New Yorkの建築会社によってデザインされたものだとか。
ロビーもなんともレトロで、その中心の大理石の床には凹みがあります。これは何十年もエレベーターホールの中心に陣取って人を誘導するホール係の人の足の回転でつけられたものとか!毎日毎日くるくる回って指差していたおじさん、ご苦労様でした。
優雅なフランス様式建築。青銅の屋根飾りに歴史を感じます。ある富豪が買い取って内外とも改装したそうですが、そのときになんと飾りのいくつかがきちんと屋根にとめられてなかったことが発覚したとか。
機械工組合図書館は一般の人も利用できるサンフランシスコ市の図書館。レトロなビルにはチェス協会やオズの魔法使いファンクラブを掲げたオフィスもあります。ツアーガイドのリックさんは興味を持って
何度か手紙を出したそうですが、返信はなかったそうです。活動は謎です。下から見上げた螺旋階段の美しさに惹かれました。
アールデコ様式の文房具屋さん。実はこちらは裏口で、表口はMarket Streetニ面しているのですがそちらはまったく特徴ない面持ち。
近くにあるWells Fargo銀行の建物のあちこちにも歴史を感じます。
最近建てられたビルはユニークなオブジェなどもあり、アートを楽しみながら一息つけるまさに都会のオアシス。
地震直後に立てられたホバートビルの概観もユニークです。外壁が切り取られたようになっているのは、その隣のビルが"Air Rightsを売り払ったから。サンフランシスコ市内でもフィナンシャル・ディストリクトと呼ばれる地域では、建築できるビルの高さが30階までと法律で規制されています。しかし、隣り合わせのビルから空中権を買い取って建て増しすることができるのです。この理由から市内ではのっぽビルの隣が平屋だったりするケースもあります。
ホバートビルの屋上にはイタリア様式の屋根裏部屋が建てられているそうです。
ホバートビルの屋上にはイタリア様式の屋根裏部屋が建てられているそうです。
市内で一番の鉛筆ビルは幅6メートル、奥行きは24メートルで1910年に建てられました。元は繊維工場だったところで今はオフィスビルになっています。 その並びにあるShell Building(1929)は典型的なアールデコ様式。向かいのビルに反射した姿も優雅です。
2008年にSOMA(South of Market - 市内を斜めに走るMarket Streetの南側の地域)に建てられた60階建ての高層ビルOne Rincon Hill South Towerの上には、強風や地震によるバランスの崩れを補うため、5万ガロン(22万7千リットル)の水が入ったタンクがあるそうです。
カバーしたエリアはそれほど広くなかったものの、それぞれの建物やスペースが持つ歴史、空中権の売買、SOMAの再開発のプロジェクトなど多くの興味深い話を聞いて、何度も訪れたサンフランシスコが新鮮に感じられました。これからの進化がますます楽しみです。
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