2013年4月28日日曜日

Total experience

明日はDの誕生日。ゆっくりできる土曜日の今日に、食事に出かけました。行き先はナイショ。

未だ夕焼けが鮮やかな空を西に山に向かってすすみます。10分も車を走らせれば、丘には馬が、道ばたには鹿がいる風景があります。車を運転したのは何週間ぶりだか。こんなに近い場所なのに、非日常性を感じました。
WoodsideにあるThe Village Pub. 落ち着いた雰囲気と充実したワインリスト、数は少なめだけれど季節の食材を活かしたメニュー作りで定評があります。

店内は満席。顧客はさりげなくお洒落をしている人ばかり。これもカジュアルが当たり前なこの辺のレストランとは違います。落ち着いた照明とフロアを優雅に行き来するスタッフたち。サービスも重要な舞台装置だということを久しぶりに思い出しました。

まずはカクテルでスタート。エルダーフラワーのリキュールを使ったダイキリはすっきり辛口で気に入りました。ハネムーンと題したレモンの利いたちょっと甘めのカクテルも夏らしい。カクテルはテーブルでシェイクしてくれます。片手でシェイカーを振る素敵なウエイターにほれぼれ。
ドリンクリストは100ページ以上。あるヴィンテージのロマネコンティは一本5800ドル強でした。範囲は広く、手軽に楽しめる値段のもののあります。
アミューズブッシュはチーズプロフェタロール
ワインは白ボルドー。マルボロソーヴィニョンブラン続きなので、この前のうちディナーから白ボルドーに戻りました。すっきりさわやか、フルーティさがキツすぎない程よさでした。三種類のパンもスイートバターと合いました。塩はフレーキーでそのまま口に含めばまろみある塩味が優しく溶けていきます。
前菜に私はグリーンガーリックスープ。パセリのクーリーをまぶした海老が数匹お皿に盛られていて、デリケートなブリオッシュクルトンが歯ごたえをプラス。にんにくの香しいスープは別のポットに入れられて席にて注がれます。
ダニーはモントレー産アワビのグリル、パースニップのピューレとフリジレタス、ポーチドエッグ添え。ヒモの部分が固くて身もなんだか?という感じで、これでいいの?と聞いたらすぐに新しいお皿を持って来てくれました。そちらは申し分なし。小ぶりなアワビでしたが、味はしっかりしていて付け合わせとのバランスも素晴らしいものでした。
Dがメインに選んだのはポークベリーとアラスカハリバットのグリル、季節の豆とソレル。私が肉を食べないのを知ったウエイターは盛りつけを工夫するようにキッチンにいてくれ、お肉の上にサーヴされるハリバットを豆で肉と分けて両端に盛りつけてくれました。嬉しいサービスです。そのおかげで私も最高にジューシーなお魚を味わうことができました。
私のメインは帆立のココット焼き、フェンネルサフランソース。これ、今まで思い出せる限りの帆立料理のトップクラスです。盛りつける前の写真を撮れなかったのが残念。ピカピカに磨き上げられた大きめの銅製のココットにパイ生地でほっこり帽子をかぶっていた一品。まずそのペストリーをきれいにはがし、温まったお皿に盛りつけます。そしてこんがり焼けた帆立、ベビーキャロット、ポテト、チャード、フェンネル、きのこを彩りよく盛りつけ、サフランソースをかけてくれました。
ああ。帆立は火の通り方が抜群でした。表面にはしっかり焼き色がついていたので、かなり高温でさっと両面を焼いて、それからココットで火を通したのでしょう。ソースの香りがついていながら、中は温まったレアでした。ときにある残念な’ガリッ’もありませんでした。

Dのメインも一つ一つは素晴らしい仕上がりだったけれど、敢えて一緒のお皿にいなくても。。。三人のオペラ歌手がそれぞれの持ち歌を同じステージで競っていたみたいに。
普段はデザートは食べない、もしくは一品をシェアすれば上出来な私たちも、今日は別腹。オーダーしてから20分かかるチョコレートスフレはアールグレークレームアングレーゼ添え。このクリーム絶対真似する!アールグレーの香りのカスタードソースですがこれが苦すぎず甘過ぎないチョコレートスフレとよく合うこと。
ミルフィーユはナッツクリームがサンドされていました。ちょっと切るのに一苦労。もう少しミルフィーユがさっくりしてたら嬉しかった。
最後のおまけはレモン風味のふわふわマシュマロ。かわいくおいしく♪最後まで喜ばせてくれるじゃない!

食後にスコッチを飲みたかったけれど、今宵のドライバーはワタクシなので、ぐっと我慢。エスプレッソはかなり酸味が利いていました。
久しぶりに、食事そのもの+雰囲気とサービスを満喫した一夜。食べること=食べ物を口に入れるだけにあらず。美味しくいただける食事の回数は誰にでも限りがあります。普段から雰囲気を含めた全体を楽しめる食卓作りを心がけようと改めて思いました。

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