2011年2月8日火曜日

食の衛生について

食品安全について勉強して食中毒やアレルギーについて新たに学び考えました。統計によると米国では毎年5000人が食中毒で命を落としています。一週間に100人の計算です。

ひとくくりに食中毒といっても菌による炎症、菌から派生する毒素、毒素から引き起こされる炎症があります。菌によっては熱や極低温でも破壊されないものもあるので、とにかく発生させないことが先決。一番効果があるのはよく手を洗うこと、そして生および調理した食品の温度管理をすること。一度調理をしたものでもその後の温度管理次第で細菌は繁殖するし、食べる人の免疫が弱っていれば不調の原因になります。ウィルスが原因の場合も衛生管理は大切ですが、食材を信頼できるお店から仕入れることも大切です。特に魚介類などは見た目でわからなくても毒素が発生することがあります。日本でいわれるサバ中毒はたんぱく質が分解されてヒスタミンが多量に発生した魚を食べることで起こります。一度発生したヒスタミンは熱でも冷凍でも分解されないので要注意です。寄生虫は熱または冷凍で死滅するので、生魚はしっかり火を通すか決められた時間冷凍すれば危険は無くなります。また家庭で気をつけたいのは自家製缶詰や瓶詰めを作るとき。しっかり熱を通さないとボツリヌス菌発生の危険があります。バクテリアは弱酸性で水分が多い環境を好むので、にんにくとオイルを混ぜた物も温度管理をしないと危険性があるとか。以前にんにくをオリーブオイルに漬けて料理に使っていた時は常温の戸棚に置いていました。何もなくてよかった。。。

食品によって調理温度(深部の温度)が決まっています。例えば卵の場合、すぐ食べるもの145F(63C)、バッフェの用にまとめて調理してサーヴするものは155F(68C)です。サルモネラ中毒の危険性がある鶏肉は165F(74C)、同じ牛や羊肉でも塊は145F(63C)、ひき肉になると表面積が増える=菌繁殖のリスク増なので155F(68C)。これらの温度でまんべんなく15秒以上調理するというのがガイドラインです。興味がある方はこのチャートが役立ちます。

菌が一番繁殖しやすいのは41F(5C)から135F(58C)の間で、このエリアはTemperature Danger Zone(TDZ - 危険温度ゾーン)と言われています。冷蔵庫は5℃以下の設定になっていますが、たまには温度チェックをおすすめします。そして解凍は室内では行わなわず、電子レンジか流水の下で行えばリスクを回避できます。

米国では食品医薬局と農務省が食品衛生を統括してガイドラインを出します。その実施を監督するのは各州や地方自治体。州によって資格有効期限が決まっていてCaliforniaの場合は5年間です。今まではこの資格取得は義務ではありませんでしたが、つい最近法律が変わって調理師や食品に直接触れるfood handlerはCA独自の資格取得が義務となったそうです。試験を受けてからたまたまこのニュースを知りました。

食べ物が安全に食卓に上るには、食材の鮮度はもちろん温度管理を含めた調理の手順、器具や調理人の衛生状態、食べる人を考えた注意点がたくさんあります。理由の思い当たらない不調も食べ物が原因であることもあります。ある友人は数年前から急に疲れやすくなり、精密検査でも原因が特定できませんでした。巡り巡ってある医者で徹底的なアレルギーテストをしたら小麦アレルギーが判明。それも普通の検査ではわからない反応だったそうです。生まれてずっと普通に食してきた小麦をとらない食生活で日々の生活ががらりと変わりました。アレルギーのある人々には食事がリスクになりえる。幸運なことに自分はアレルギーが全くないので見落としがちだったことを考える機会となりました。

役立ちそうなリンクをいくつか載せておきます。
農務省のFood Safetyトップページ
Food Safetyトピックを集めたページ
NRFSP(食品安全協会)のページ

6 件のコメント:

  1. 毎月、レセプト点検をしていると必ずと言っていいほど「食中毒」の病症名があります。

    食の衛生、勉強になりました。
    本当にこわいですよね。普段なんでもないのに体調によって食中毒・・・。私は生カキが食べたいのに、この5~6年食べるとダメです。

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  2. 衛生管理の行き届いている日本でも結構あるのですね。特に魚介類は赤潮、そして特定の藻(魚には無害)を食べた魚の身が人間には毒になったりとわからない部分もたくさんあるようです。細菌では黄色ブドウ球菌など普通に人間の皮膚などにいる菌もある。そして細菌の中には有益な物もたくさんある。奥が深いです。

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  3. 家の旦那はブラジルナッツのアレルギーです。そのナッツが入ってないミックスナッツでも近寄りません。以前大変な思いをしたらしいです。何を食べてもへっちゃらなわたしにはちょっとピンときませんが、これを食べたら死活問題というアレルギーをおもちの方々には大変なことですよね。以前のブログの中でディナーを作る予定の家族の中に何かのアレルギーがあることが直前にわかってメニュー変更したこともありましたよね。ただ単においしいものを作って楽しんでもらうだけではだめなんですね。うーん、いろいろありますねぇ。

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  4. ナッツアレルギーは深刻ですね。知らなかった。ブラジルナッツローフの美味しいレシピがあるのですが、えみこさんのお家では作れませんね。私も幸いアレルギーがないので普段気にしませんが、本人や家族はさぞ大変だろうと思います。
    確かに以前はディナー当日午後になって、甲殻類アレルギーの人がいると連絡が入り、天ぷら鍋や揚げ油を余計に持って行ったり、茶碗蒸しの具を変更したりしました。「いかに知らないでいたか」を知る。毎日この繰り返しです。

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  5. いろいろと勉強になりました。ありがとう!

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  6. よかった!生まれてくる赤ちゃんもアレルギーとは無縁で何でもモリモリ食べられますように。

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