2012年4月7日土曜日

銘菓との出会い その7

鎌倉は豊島屋の鳩サブレー。実家にいただいた大きな缶のお年始、缶ごともらってきちゃいました。
昔はお客様からいろいろな御菓子をお土産にいただいたものです。凮月堂のゴーフル、栄太郎本舗のピーセン、亀谷万年堂のナボナ、本高砂屋のエコルセ、泉家のクッキー、そして鳩サブレー。全ての御菓子は今もまだ親しまれているものばかり。季節の和菓子も嬉しかったのですが、時間が経ってもまだ「あ、あの御菓子がある!」と思う嬉しさもまた格別。
缶の中には三代目店主さんが書かれた「鳩のつぶやき」が入っています。鳩サブレーは明治30年頃、異人さんからもらったピスケ(明治にはビスケットをこういったそうな)を味見して、これからの日本の子供たちに喜ばれるのはこの味だ!と思い立ち、一から研究して仕上げたそうです。バターなど簡単に手に入らなかった時代。横浜の異人館経由で材料を仕入れ、始めは丸い形でお目見えしたそうです。欧州航路から帰った船長さんが、サブレーという菓子に似ていると聞き、「サブロー」との語呂合わせが気にいった初代さん。かねてから八幡宮境内に多い鳩をモチーフに何か作りたいと思っていて、鳩三郎という名前が誕生したそうです。「バタ臭い」味はすぐに受け入れられた訳ではなく、ご近所に配った鳩三郎が裏庭で犬の餌になっているのを見たこともあったとか。「一つのものを売り込むには十年はかかる」といいながら味を追求して行った初代さん。その情熱がなかったら、今の鳩サブレーはないんですね。

明治、大正、昭和。関東大震災、第二次世界大戦を経て、今も愛されている鳩サブレー。「決してヤミはやってはならない、お天道様に恥じず、まっこうから菓子が作れるまで店はあけるな」と言い続けた初代さんは、戦後の鳩サブレーを見ずに、最後まで鳩サブロと言っていたそうです。多くの思いを想像しながらバターたっぷりのサブレをいただきました。

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