2009年11月18日水曜日

The World of Bach

昨晩降った雨もやみ、朝から気持ちのよい青空。紅や金色の街路樹もキラキラしています。


今日もシティまで公開リハーサルを観に行ってきました。仕事が忙しいダニーにかわり、ご近所のTさんと一緒に朝7過ぎに家を出発、8時半の開場には余裕で間に合いました。2回目なので勝手もわかり、無事にホール真ん中に席を確保したあと、ドーナツとコーヒーを楽しみました。

今日の演目はバッハのブランデンブルグ交響曲3,4,5番、管弦楽組曲1番、そして息子のヨハン クリスチャン(JC)の交響曲2番でした。両方とも言わずと知れたバッハの代表作、JCの交響曲はモーツァルトを思わせる軽快な旋律でした。といってもJCがモーツァルトに似ているのではなく、実はその逆だとか。神童モーツァルトが8歳のとき、JCは31歳で彼のメンターだったそうで、実のお父さんよりモーツァルト自身に与えた音楽的影響は大きかったと言われているとか。20人とも21人ともいわれる子供をもったバッハは、自身の創りだした音楽はもとより、実の子たちへの教育をも通して、時代を超えて偉大なる音楽へ貢献しているのだと尊敬の念がより深まりました。

バイオリンソロと指揮はAlexander Brantschik。SFシンフォニーでコンサートマスターをつとめる前はロンドンシンフォニー、オランダラジオフィルで活躍。彼が弾くバイオリンは1742年のグアルネリウス。ドイツの巨匠 F.Davidが1845年のメンデルスゾーンの名作バイオリン協奏曲初演に使い、またイスラエル人天才バイオリニストのJ. Heifetzが長年愛用したという名器中の名器でした。5番のパープシコードのカデンツァもすばらしかったです。

J.S.バッハの世界にはなぜかとても惹かれます。宗教色が濃く、フーガの技法など時として規則やテクニック重視で創造性がないなどと評されることもありますが、私にはどの調べもなぜかとても懐かしく心にしみ入ります。もしかしたら中世ドイツで生きていたことがあるんじゃないかと感じるほど、バッハの音楽に触れると既視感に似た感覚があることも。特に子供時代に多く聴いた訳でもないのに不思議です。

70年代に打ち上げられた宇宙船Voyagerのミッションの一つは,他の惑星に存在するかもしれない生命体にメッセージを送ることでした。地球を代表するメッセージとして何が適切か、カール セーガン博士は考えたそうです。医学博士、作家、研究者として有名なルイス トーマス博士に助言を求めたところ、トーマス博士は「技術が許せば、音楽を宇宙に発信するのがよい。我々地球人を説明するのには、音楽という言語が一番適切であり、自分ならバッハ全集を選ぶ。もちろんそれは自慢していることになりはするけれど、新しい出会いに最もふさわしいだろう。あまりよくない事実はその後で話せばよい。」と、バッハの音楽のすばらしさを讃えたユーモアのある返答をしたそうです。

時代や国境や民族や惑星をも超えて届く音楽。だからどこか懐かしいのかもしれません。

2 件のコメント:

  1. Voyagerのミッションにそんな事があったとは知らなかった。つい先日、バイオリニスト志望の姪が、音楽家達の間にLanguageは必要ないように感じるからあまり外国語の習得に熱が入らないと言っていた。音でコミュニケーションが取れているんだと納得すると同時に、19歳でそう言い切っててしまう音楽家スピリットに感心。19歳の頃、英単語ばかり暗記していた自分を回想。 私も今度公開リハーサル是非足を運んでみます! Andy

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  2. 姪御さんのご活躍、楽しみにしています。いつかSFにもツアーに来てくれるかな?音楽は奥が深い学問でもあるのに、音学ではなくて、音を楽しむと書きますよね。そこからしてとてもすてき。美しい音楽で心が震えるとき,すべては波動でつながっているんだな〜思います。

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