2011年3月6日日曜日

サプライズ料理教室

以前ブログに書いた友人夫婦はお互いにサプライズを企画するという粋な試みを続けています。二人とも誕生日が2月でイベントが盛りだくさん。Dannyが腰を痛めて参加できませんでした。しかし彼らの場合、誕生日のお祝いは一度では終わりません。土曜日はだんなさんから奥さんへのプレゼントにと料理教室のお呼びがかかりました。

だんなさんは家のドアを開けたまま外出。私が一時間前に到着し、セットアップ。その他三人の参加者は徐々に集まり、仕事で出張中の奥さんが帰った頃にはなぜか友人が家に入り込んで、テーブルセットができている。いったいこれは??と驚くというシナリオ。
テーマは日本料理の基本。な〜んて私が教えるってのも恐縮ですが、お米の研ぎ方や水加減、鍋炊きの方法(実際は炊飯器で)、日本人とコメの関係などを話しました。一番だし、二番だしをとり、だしがらでふりかけを作り、八方だしや変わりだしでおひたしを作り、揚げ出し豆腐、しめじ入親子丼と味噌汁という流れ。一番だしの美味しさには皆感動していました。世界各国を食べ歩きしている人たちだけれど、だしの取り方は知らなかったと喜んでくれました。
鶏や牛を使ったスープとは比較にならないくらい短時間でとれるのに、うまみが凝縮しているだし。Wikipediaによると古代ローマではグルタミン酸たっぷりの魚醤がすでに料理に使われた記憶があるそうです。しかしUmamiが甘味、酸味、苦味、塩味に加わる5つめの味要素として国際的に認められたのは1985年。結構最近ですね。ハワイで開かれた初回国際うま味シンポジウムだったそうです。ちょっと疑問。うま味という言葉が正式に認められていなかったのに名を冠した会議はあったのか?どうでもいいか。

1800年代後半にフレンチシェフ、エスコフィエが4要素以外の味わいの料理を出した記録があるそうですが、彼自身その味を分析できなかったとか。1908年に東京帝国大学の池田菊苗教授が昆布だしは、甘、酸、苦、塩の味どれとも違う独特の味を持ち、それはグルタミン酸によるものと特定、その成分を「うま味」と名付けたそうです。その後、1913年に池田教授の生徒であった小玉新太郎博士は、鰹節から抽出されたイノシン酸もうま味成分であることを確認。その後国中明博士が椎茸からグアニル酸を発見、そしてグルタミン酸とイノシン酸を合わせるとシナジー効果で個別に使うより全体的なうま味が増すことを特定しました。そしてだしは昆布と鰹節でとるのが定番になったそうです。同じくイタリアでもトマトとパルメザンチーズを合わせるのはこの相乗効果を期待してのこと。いや〜、古代ローマから伝承される味のマジックを日本の科学者が分析し、世界へ定着する言葉にして、それが日本料理に息づいているとは。なんかロマンを感じてしまいました。日本人が味にうるさいのは、だしを味わう機会が多かったことも関係しているのでしょうか。

みりんと醤油を加えればいろいろ使えるし、酒や砂糖をくわえてもよし。すごいスープです。また八方だしとはいろいろ使えるからその名前がついたそうですね。つゆの素も便利だけど、やっぱりひきたてのだしを使うと素材の味がよりいきると感じます。

おひたしはほうれん草と春菊。春菊には、八方出汁にきな粉を混ぜて、さらにいりごまを混ぜた変わりだしをかけました。ベースのきな粉だしはためしてガッテンで見つけたもの。お酢を加えれば冷やし中華のタレっぽくなります。カロリーを控えたい時にすりごまの代わりにきな粉は優秀。ごま油を加えてドレッシングにもいいし、これから活用できそう。きな粉と塩味の液体って考えつかない組み合わせでした。牛乳を加えればポタージュスープのような味になるとのこと。コーンクリームスープみたいなのかな。きな粉は栄養価もあるしいい活用方法を知りました。

揚げ出し豆腐は豆腐の水切りから。かなりの量の水がでて素直に驚いてくれて、片栗粉を付けて豆腐を楽しそうに揚げていました。薬味は大根おろし、おろししょうがとねぎ。
親子丼はしめじを加えて味と歯ごたえに変化を出しました。三つ葉もみなさん初めてで気に入ったようです。参加者はドキュメンタリー映画製作に携わるカップル、教育関係の非営利団体に勤める女性、友人夫妻、プレイデートに来た飛び入りお父さん。みなさん日本食は食べ慣れていますが、初めて目にする食材や作り方に熱心に質問が出ました。
豪快などんぶりができていました。三つ葉はもうちょっと細かい方がいいけど、これもしゃきしゃきで美味しい!

味噌汁はシンプルに若布とねぎ。二番だしは追い鰹をして、その出しがらは細かく刻み、から煎りして醤油とみりんと白ごまでふりかけにしました。これも大人気。こうしてムダを出さないというのも日本料理の重要な観点だとアピール。なんせこのカップルは去年一年「何も買わない」を貫き、トイレットペーパーも最後の一つで補充するという徹底ぶり。彼らの家で「ムダ」というコンセプトは通用しません。

一日を終えて。友人同士おしゃべりに夢中になる人たちをどう誘導するかなど今後の課題にも気づいた貴重な経験でした。

家に戻ってDannyへのご飯は、カリフラワーのチーズソースベイク。ホワイトソースを作りチェダーとパルメザンチーズを溶かし込み、パン粉はバターとオリーブオイルで炒めてオニオンパウダー、ガーリックパウダーとパセリで風味漬けして焼きました。素朴でおいしいく仕上がりました。
友人宅は急な階段を登った3階。重い荷物を持って上り下りしたので、今朝起きたら体中筋肉痛でした。来週は朝6時半から仕事。みなさんもよい一週間をお過ごしください。

0 件のコメント:

コメントを投稿