2009年7月28日火曜日

Mishima

最近図書館によく通っています。主に新刊ノンフィクションとクラシックのCDが目的ですが、DVDの棚も時折チェック。先日、Paul Schrader監督(Taxi Driver, American Gigolro)のMishima - Life in Four Chaptersを借りました。1985年のこの作品、日本では公開されなかったそうです。日本でも三島由紀夫はある人々には神格化されていて、撮影時にもデモや抗議があったとか。資金も集まらず製作者の一人であったフランシス・コッポラ氏が”とにかく走り出すこと、必要なものは必ず後からついてくる!”と言い切って始まったプロジェクトでした。その後コッポラ氏の言うとおり、ジョージ・ルーカス氏の協力を経て映画は出来上がりました。

三島作品といえばストーリーの独自性もさることながら、日本語の美しさが印象に残ります。自らライフワークといっている豊饒の海4部作やユーモアたっぷりの小品、”三島由紀夫レター教室”なども印象深い作品の一つ。

映画は1970年11月25日の朝、幼少時代、小説 金閣寺 鏡子の家 奔馬、そして自決へと4つの章で三島の作品と人生を描いています。緒方拳扮する三島は肉体改造も半端じゃなく、その他も豪華キャスト。三島の祖母が加藤春子、母が香川京子、小説シーンでは坂東八十助、沢田研二、佐藤浩一、勝野洋、永島敏行などが登場。キャストもさることながら、強い印象を残したのは石岡瑛子氏のセットデザインでした。当時グラフィックデザイナーとしての経験しかなかった石岡氏は、苦労しながらもコンセプトを監督や撮影責任者と話し合い、セットはモデルを作りながら、一つ一つ案を形にしていったそうです。金閣寺は本物そっくりの模型を金をふんだんに使って仕上げ、周りは能舞台を思わせるシンプルながら荘厳な設定。鏡子の家は、アメリカ文化の薄っぺらい部分から吸収しはじめた戦後の日本、奔馬では、主人公の勲と中将が密談するオフィスの壁は白一色で天井からのライティングがハリのある立体感と奥行きを作り出していて見事です。

幼少時から文化に親しみ、学校も優秀な成績で卒業し、川端康成に見出され、若くして天才小説家とうたわれ、作品は海外でも高い評価を受けた。外国語を流暢にあやつり、高い美意識で美しいものに囲まれて、弱々しかった自分の肉体まで憧れのローマ彫刻のように作り上げた彼。

映画は奔馬の主人公の自決場面が三島と入れ替わって終わるのですが、彼が自衛隊の市谷駐屯地で最後に何を感じたのでしょう。

2 件のコメント:

  1. へえ、こんな映画が存在するんだ。私もぜひチェックしてみます。

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  2. ぜひ見てみて!日本では今も手に入らないそうです。

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