2010年10月22日金曜日

ゲノムのはなし

おっと、あっという間に一週間経ってしまいました。ブログ更新されてないけど、元気?と連絡をくれた皆さま、ありがとうございます。毎日忙しくしておりました。

先日あるトーク会に参加する機会をいただきました。トピックは「遺伝子検査の最新動向 - 検査技術 ビジネスとそれをとりまく環境について」。当地でバイオテックリサーチに関わっている方が遺伝子、ゲノム、染色体など遺伝学のおさらいから、日々進化している遺伝子検査マーケットや技術、そして検査ビジネスを取り巻く環境や倫理問題などについて解説してくだいました。

ヒトゲノムが解読され医療分野では個の医療が進んでいます。画一的な処方が多かった抗がん剤も事前に被験者の遺伝子や細胞内のタンパク質構成を把握することで、より的を絞った治療ができ副作用も減らすことができます。遺伝病の可能性がわかれば、生活習慣をかえたりして積極的に予防することも可能です。人だけでなく、少子化でペットの家族化が進む今、ペットの遺伝子検査ビジネスもすごく伸びているのだとか。

検査技術や機械の進歩とともに、全ゲノムの解読コストも超スピードで下がってきているそうです。数年前までスパコンを数台つなげて数ヶ月かかって解析していたものが、今現在ではデスクトップの機械で一人当たり$1,000ほどになりつつあるとは驚きです。

一般消費者向けの遺伝子検査サービスもあります。オンラインで申し込むと唾液をいれる容器が送られてきて送り返す(血液はだめでも唾液の郵送はOKだそう)と6-8週間で解析結果にオンラインアクセスできるというシステム。この場合はフル解析ではなく、SNP解析という方法が使われます。二人以上のゲノム各30億塩基対を比較すると99.9%は塩基配列が同じだそうです。顔や性格の個人差は0.1%。その個人差を確定するには特定の遺伝子のDNAの一部を取り出し、比較するそうです。

23 and Me というサービス会社では、遺伝子からわかる個人の味の感じ方、例えばブロッコリーやコーヒーの苦みを感じる遺伝子を持ち合わせない人がいるそうですが、その遺伝子の有無や、アスパラガスを食べると尿がにおう(ちょっと下ネタで失礼)と感じる人はある酵素が欠けているとかそんな項目までレポートにありました。遺伝病の可能性を探って未病を防ごうというより、自分の祖先はどこから来たかとか、家族内での好みや特徴を比較したりとエンターテイメント要素が強いような気がしました。比較する遺伝子データが充分なければ結果の精密も変わってきます。ちょっと興味がありましたが、日本人データが少なそうなので、どうせなら全ゲノム解析のコストダウンを待ったほうがいいかもしれません。

しかし自分に特定の病気の可能性がとても強く現れたら?しっかりと向き合っていく勇気があるか。それとも可能性を知ったことで、逆にその不安が芽生え、病気の遺伝子をオンにしてしまったりすることもあるのか。いろいろなことを考えるきっかけとなった話題でした。

4 件のコメント:

  1. このデザートを食べたら何だか幸せな気分になれそう!

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  2. ごめんなさい。コメント欄を間違えてしまいました。
    上記のコメントはマンゴデザートのものです。

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  3. アスパラガス?酵素が欠けてる?欠けるとどうなるのぉ?
    ゲノム解析とても興味があるけれど私は知らないでいたほうがいいのかも。。。

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  4. アスパラガスの件、私もアメリカに来て初めて知ったのだけれど、結構"Asparagus makes your pee smell"と言われています。ググるといろんな情報があり、研究もされているみたいだけれど、遺伝子が関係していることは確かでも真相はわかっていないそうです。一説によると尿がにおう人はアスパラガスの成分を匂いの元に分解する酵素を”持って”いる。でも匂いを"感じる”ことができるかどうかは、また別の遺伝子が関係しているとか。トーク会の参加者のある日本人の方はご自分が匂いを感じると話していました。だから人種には関係ないですね。また食べている最中に硫黄臭を感じ始める人もいるのだとか。アスパラガスが嫌いな人はこのタイプも結構多いのかも。
    昔のお見合いでは家族の病歴なども情報としてお互い交換したというけれど、今後はゲノム情報交換なんてSFもどきもあり得たりして。映画Gattacaを思い出しました。

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