2011年11月24日木曜日

好奇心

新しい仕事をはじめて興味深い人たちにたくさん出会いました。みなさん経験豊富で、アメリカに暮らしている理由も様々。話しているとたくさん刺激をもらえます。京大で古典を勉強した青年とは彼が一番好きだったという百人一首の話題で盛り上がり、隣りの席の女性が一学年上の同窓生だと知ったり。三年間も同じキャンパスに通った人とアメリカで出会うなんて奇遇です!年齢にも幅があり、大卒ほやほやの人もいればとてもそうは見えないけれど地下鉄のシニアパスを買ったと誇らしげに話す男性もいます。日本人同士では年齢はまだまだ気になるパラメター。その中で年齢を信じてもらえない私。それに快感を覚えないというと嘘になりますけど(笑)。

何処からパワーがでてくるの?と聞かれる事もしばしば。毎日弁当持参で、昼はギャラリーをのぞき、夜は治安の悪い地域を歩いてまでコンサートに行く。過去一週間の行動そのものに目を丸くされている訳です。

持ち前の貧乏性がモティベーションとなっているだけ。せっかくSan Franciscoに来ているのだから、散歩がてら街のクリスマスデコレーションの写真を撮りたいし、いつかチェックしたハッピーアワーのお店にも行きたいし、Ferry Buildingのチーズ屋で何か買って帰ろうか?と頭の中は気になる事だらけ。とりとめのない思考フローが「元気印」に映るのかも。そんな時ばかりではないけれど楽しそうだね、と言われるのは気持ちいいです。

この仕事は友人の紹介で入ったのですが、彼女は同僚になるとも知らず私のケータリングを宣伝してくれていました。そのおかげもあってお弁当に興味ある方々から注文をいただきました!皆さんにお弁当箱とマイ箸を持参してもらうシステムにしようと考えています。

通勤電車は「断捨離ボックス」行きとなった本を読み直す格好の場所になりました。今読んでいるのは遠藤周作氏「周作塾 読んでもタメにならないエッセイ」。遠藤氏といえば「イエスの生涯」「沈黙」「深い川」といった純文学から「怪奇小説集」や狐狸庵号で数々のユーモア作品を出しているお方。この氏こそ好奇心の泉のような人だと思います。素人ばかりを集めた劇団樹座(きざ)を作って海外公演をしたり、映画学校の学院長(ジジ臭い名称は趣味でないといいながら)になってみたり、熱心なカトリック信者でありながら他の宗教の経典にも通じていたり。人をだますのも得意だったそうで笑えるエピソードは数知れません。ご本人は幼い頃に敬愛する両親の離婚を経験したり、肺を煩ったりご苦労はありました。苦労のない人はいないとしてもだからこそか氏の文章はユーモアと他人への思いやりがあふれています。素人劇団運営を通して学んだ事として「世の中に役に立たぬものはひとつもない」と挙げておられます。小心、不器用、恥ずかしがりやの人たちが無理してマイナスをプラスにせずマイナスのまま披露してお客を喜ばせる。すごい発想です。短所をマイナスに終わらせるか、プラスに転化させるかは頭の働かしかた、心の持ちようで決まると氏は述べます。

こういう考え方そのものが好奇心からでてくる、そんな気がします。

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