2010年10月7日木曜日

華豆腐

黄身返し卵が紹介されていたという料理本「万宝料理秘密箱」。江戸時代の料理本は、数百冊を超えるそうで、茶料理や精進料理、菓子、保存食から南蛮料理まで分野も様々です。料理本のベストセラーとも言われる「豆腐百珍」(1782年)には、続編、付録、余録を合わせて300品近くの豆腐料理が載っているそうです。

そんな多くの本を読み込んだ料理人、福田浩氏の「完本 大江戸料理帳」では、江戸の季節ごとの料理、お菓子、お正月の晴れの料理などが紹介されています。
当時の料理本は「料理人ならこのくらいはできるだろう、工夫するだろう」ということで、詳しい作り方は載っていないそうです。「常のとおり」とか「調味好みしだい」なんていう所から、料理の味わいを探ることに面白みがあると。確かにその通り!もちろん材料や調味料だって、当時と同じ物が手に入る訳ではなく、熱源だって薪や炭からガス電気に変わっています。その中で、あえて時代の雰囲気を再現しようとされた試みはすばらしく、引き込まれました。

写真に惹かれた「華豆腐」。「本にはすぐ出来そうに書いてありますけど、なかなかそう簡単にはいかないんですよ」という見出しにも挑戦意欲がわきます。

豆腐を切り分けて、縦横に包丁を入れて湯であたため、葛あんをかけてわさびをのせるだけというシンプルなお料理。本には豆腐の切り方、温めた豆腐をどうやって器に移すのかなどの手順の記載はなし。切り方はかまぼこ板など添え木をする、豆腐は50℃ほどの湯にしばらく置き、手ですくいとると本には書かれていました。ただ切っただけではきれいに華にならないし、お湯に通すことでじっくり温まりうまみが増すことはもちろん、豆腐が崩れにくくなる。よく考えられています。

今回はテストなので、豆腐は市販の絹子ごし(Silken - soft)。あんかけは麺つゆと片栗粉でつくったなんちゃって葛あん。さて、いかがなものか?

5cm角ほどに切ったお豆腐を鍋であたため、網ですくってみました。ちょっと切り目の入れ方が細かすぎたか。



次は同じ大きさの豆腐に心持ち大きめに包丁をいれました。
こちらのほうが何となく華っぽい仕上がり。しかし、プロでも「なかなかそうは簡単にいかない」というだけあります。
もう10cmの豆腐はお湯に入れる前に端が崩れてしまいました。何となく修正が利かなくもないのですが、5cm角のひとくちサイズが見た目もかわいい仕上がり。

温まったお豆腐の優しい甘さにカツオ風味が効いたあんがまろやかさとコクをプラス。そしてわさびの辛みと刺激がアクセントになって、う〜ん、うまい。上野の豆腐料理の老舗、笹乃雪で食べた豆腐料理を思い出したくらいです。

次回はMedium firmくらいの絹ごしで作ってみようと思います。そして焦らずじっくり温めて身が締まれば扱いやすくなるかと。今回は早く食べたくって、ちょっと焦ってしまいました。

丁寧にとった出汁と本葛であんをつくれば、文句なしにごちそうです。次回ディナーパーティーに加えたい一品となりました。

2 件のコメント:

  1. 菊の花みたい!

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  2. 菊の花といえば、菊花かぶというのを高校の一番最初の調理実習で作った記憶があります。えみこさんも作った?

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