器用貧乏は英語で言うとJack of all trades, master of none。Wikipediaで見ると諺の発祥は16世紀の英国に遡ります。今では否定的な意味で使われる事が多いけれど、昔は賛辞として使われていたそうです。驚いたのは、殆ど全ての言語で同じような意味の諺があること。使い方が否定的か肯定的かは文脈に寄るそうですが、なるほど〜というのもたくさん。例えば広東語では「ナイフをたくさん持っているけれど鋭いものはない」とか、アルゼンチンやウルグアイでは「多くを掴もうとするものは弱い力しかない」と言うそう。
今回の仕事を通してふと思いました。器用というのはおこがましいけれど、ソツなく新しい仕事もこなせた。思いがけず大好きな料理も大勢に評価してもらえた。でもそれぞれの分野でプロではない。そもそも今まで専門職についていない。通訳翻訳も評価されたけれどそれで生計は立てていない。仕事=アイデンティティだとは思わない。けれど、物事を始めると細かいことにこだわるくせに、人生の大部分を占める「仕事」については一貫した道を歩んでいないのはいかがなものか。別に落ち込んでいるわけでもないし、反省すべき事なのかもわからない。ただどうしてなのかな?と。
結論は出ていないのですが、新しい事やいろいろな事に興味を持っていることは事実。いろんな事をやってみたい!一つに飽きたから次を探すというのではないし、飽きて仕事を辞めたことはない。この好奇心が脇目をふらせて道をそれるのか。でも好奇心があるからこそのたくさんの学びや出会いを得た。自分なりに貢献できたこともある。人に迷惑をかけているとも思えない。じゃあいいんじゃない?道を極められなかったのはきっと勇気と決断力がなかったから。
初対面で"What do you do?" 「お仕事は?」と聞き合うのは普通のこと。肩書きやタイトルを無くして久しい今、それは「あなたは誰ですか?」と聞かれているのにも等しい。よ自分をうまく説明できない違和感。これを時々強く感じる。
尊敬する書画家のぼうずサンこと田中太山氏がどこかにこんなような事を書いていた。「この仕事を始めた時、どんなに苦しくても、他の仕事はしないと決めた。この道だけで食べて行くと決めた」と。やはりプロのなる人の気合いと覚悟は違う。
人生の折り返し地点をとっくに過ぎてまだこんな事を考えている自分。なんだかな〜と思う反面、心は落ち着いている。ロンドンで暮らしていた頃、不景気のどん底で、仕事はあったけれど心が荒んだ時があった。その頃は本気で、地下鉄にいるホームレスの人でさえ「今の自分より心の平安を保っているはず」と思っていた。ひと様の心の中を断定するなんてまったく傲慢で恥ずかしいことだけれど。あるものに感謝をせずに無いものばかり求めていた頃と比べれば、大分楽になりました。
輪廻転生はどちらかと言えば信じます。そしてこの世界に産まれてきたことは奇跡でご先祖様のおかげだと思うし、皆それぞれ学びがあって今に生かされているのだと思う。何かの拍子にふと自分は前世で早死にしたのかなあと感じる。うまく説明できないけれど、この人生は基本的によい心がけでいれば好きな事をしていいんじゃないかと。「その通りに勝手に生きてんじゃん」といわれること覚悟で書きました。はい。
「こうすれば」や、「ああしたら」と後悔なきよう、自分の思い、言葉、行動を選ぶ。もっと優しくすればよかったと亡き人に対して想う、その想いだけはこれ以上作らないようにしたいかな。
こういう気持ち、とってもよく判ります!コミュニケーションのプロって、いうのは分野としてまだはっきり確立していないんですよね。でも、すべては動いているし、価値観は変わるし、なににせよ、Do What You Love To Doをあきらめないで、いままでどおり、人生という冒険を楽しみましょう!・・・なんて自分のことになるとそうあっけらかんとはいかないこともありますが。
返信削除Akikoさん、自分でも?な気持ちをわかってくださってすごく嬉しいな。そう、人生は冒険! 一つの事を積み上げて行く職人さんも尊敬するし、次々に高い目標を立てて梯子を上って行く人もいる。私は出会った興味の対象にその時々ベストで挑んでいきます。
削除ところでBlogger, 一人一人にコメント返信できるようになったのですね。
ぶははは!!「勝手に生きてんじゃん」な一人の私も全く同意です!自分が何者か、向かい合って考えるのはホンモノじゃないかと。誰でも、昔とった杵柄または知り合いはスゴイとかで誤摩化すものですが、今の自分自身はどうだろう?そこを見据えると一歩先が違って来るのではないでしょうか。私もいつか胸はって、言えるようになるつもりですけどね (^^)/ ぐるっと回って、やっとイロイロ再認識したトコで、この遠回りは間違っていなかったと思います。
返信削除以前だったら今日ブログで書いていることを考えているとどっちかというと落ち込みがちになったかもしれない?でもとても客観的に分析しているImakokoさんがいますね。美しくかつ賢く歳を重ねている証拠!世間でいう専門職や肩書きというのは無かったかもしれないけれど、いつもプロ意識をもって仕事をしてきたImakokoさん、どうどうと「私これをしてきました!」といえるはずです。私たちもそろそろ肩書きなんて何の意味もないとわかって来たような気がしません?What do you do?にはI do everything the best。私はこういう気持ちでいたいです。
返信削除@yaさん、笑いがとれて嬉しい!
返信削除なぜかブロガーまた変ですね。いつもの微笑ましいアイコンが見えません。なぜか@yaさんとえみこさんのには個別に返信できないのでこの場で一緒にお礼を述べます。
@yaさん、遠回りって実は正しい道だったってこと、よくありますよね。急がばまわれとはよく言ったもんだ。昨晩は久々に時間があったのでとりとめの無いことを書いたのに、コメントいただけて嬉しかったです。
えみこさん、そう、前は自分に起きている事を主観的にしか取れなかった。そしてどこかや何かを責めることで自分のもろい自我を守っていたのかもしれない。分析できているかわからないけれど、起きる出来事に’どっぷり’浸かってあがくことは亡くなったかもしれません。今まで無かった白髪が前回の誕生日からどっと生えて来たし(笑)、若干賢くなり始めたのかしら? いつでもなんでも真正面から。私もI do everything the bestの気持ちでいきたいです。