2010年5月14日金曜日

見る力 - Power of visualization

Man on Wireというドキュメンタリー映画を観ました。

1974年8月7日。当時世界一を誇るNYCのWorld Trade Centeビルの間に渡したケーブルの上を、一人の男性が歩きました。高さ417mのビルの間43mを一時間弱にわたって行き来し、時にケーブルの上に寝そべり空を見上げ、下を見て群衆の声を聞き、ひざまずいて誰何ともなく敬意を表しました。その姿はまさに雲上を歩いているかのようでした。

子供の頃から高いところに昇るのが好きで、時間さえあれば手品や曲芸を練習していたティーネージャーは、ある日歯医者の待合室で、WTCビル建設の記事に出会います。その瞬間に、高層ビルの間にワイヤーを渡し、その上を歩くのだと決めました。その時から、まだ建設も始まっていないビルが彼の頭の中で実存の物となり、ワイヤーで結ばれたのです。

6年にわたる準備期間、協力者である友人たちとの軋轢、実際の計画実行の難しさ。本人や協力者たちのインタビューに当時のオリジナル映像と再現映像がうまく組み合わされ、スリリングにストーリーが展開していきます。また彼はパリのノートルダム寺院や、シドニーのハーバーブリッジでも綱渡りをしていて、その時の映像も貴重です。

法を犯して、死の危険と隣り合わせで、自分の夢を果たしたPhillipe Petit氏。入念な計画と準備が成功要因であったのは間違いありませんが、常に目標をTangible(形あるもの)で実現可能とらえていた彼の見る力に、特別なものを感じました。ワイヤーに一歩踏み出すとき『この一歩が人生の終わりかもしれない。でもパッションに従って人生が終わるのだとしたら、それはなんとすばらしいことだろう』と本人が語る映像があることにも感動しました。

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