スタジオがあるビルは元製鉄会社の建物でロフトスタイル。空き地にあるどでかい彫刻は、この広いビルの大部分を占めるBig Arts Studioの作品です。看板を探していたら、Momokoさんと入り口でばったり会いました。
Momokoさんは墨やインク、アクリル絵の具を使って線を一本一本手描きし、平面上に無限の世界を表現するline scapingのアーティストです。線は交わることなく近づき遠のき、見る人それぞれを一瞬にして独特の世界に引き込みます。
このスタイルを始めたのはニューヨーク旅行中に画廊で出会った作品がきっかけだったとか。作品の線の動きに癒されて、自分でやってみたらどうだろう?と挑戦したら、初めはリラックスするどころか、体は緊張するは汗はかくはで慣れるまでは大変だったそうです。それでも過去5年、使うブラシやペンなども実験や改良を重ねて、いまでは大きな作品も多く手がけておられます。
あるイベントに合わせて、12時間かけて仕上げたという23フィートのミューラルは圧巻です。
作品を仕上げる様子をデモしていただきました
大きな作品を始めた頃は、一筆描きできる筆やペンが見つからず、看護士のお友達に医療用器具を借りて試したこともあったとか。ペイントの薄め具合などの調整も大変だそうです。大きな壁画は、2段はしごをゆっくり下りながら一筆で線を仕上げます。翌日はかなり筋肉痛だったとか。近くから、横から、遠くから、歩きながら、いろいろな角度で眺めたくなる作品です。5年間で作った作品はかなりの数。貴重なオリジナルもたくさん見せてもらいました。そして、プリントも一枚いただきました。選ぶのが難しかったこと!
メインのline scaping作品の他に、コラージュやアクリル樹脂でさまざまな素材をコーティングした作品もユニークです。 和紙は、古いお能の脚本と聞いてびっくり。
木枠にペイントを塗って、しわを寄せた和紙を貼付けて剥がした作品。糊がついたところがおもしろいパターンとなります。アイデアがどこから来るのか?作り方など何を聞いても丁寧に答えてくれるMomokoさん。木の温かみがある和の色が表現された二つの作品が特に気に入りました。
お客さんの足並みが落ち着いた所で、American Steel Buildingの他のエリアを案内してくれました。巨大な彫刻を作るBig Arts Studioはとにかく、鉄くずからマットや何がなんだかわからない部品までありとあらゆる物が集められています。廃墟のような、それでいて宝の山に迷い込んだような秘密めいた雰囲気。集まったモノたちの息づかいが聞こえるよう気がしました。
アートを仕事にされたのは2005年にLine scapingを始てからで、それ以前はいろいろな職業にも挑戦されたというMomokoさん。おしゃべりを楽しみながら、オープンスタジオ最後までお邪魔してしまいました。作品のように時空がのびたり縮んだりでもしたのか、夢中の間に過ぎていった日曜の午後でした。
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