2011年4月10日日曜日

震災からひと月

日本では震災から一ヶ月後の朝が明けました。地震発生後、早いうちからより最終犠牲者は数万人になる見込みと報道していたこちらのメディアが間違っていることを祈っていましたが、行方不明者と犠牲者は2万7千人にもなってしまいました。福島第一原発周辺では捜索活動もできず被害の全貌は未だ明らかになっていません。そして今も14万7千人もの人々が避難生活を続けているそうです。天災とはいえあまりにもたくさんの命が失われました。

余震が続き、原発問題は今も先行きがはっきりしないまま長期にわたる健康への被害や、環境への汚染が心配されています。

原子力発電についていかに無知であったか今回思い知りました。そして日本全国にある原子力発電所が今まで多くの事故を切り抜け、老朽化している中で運用されていること。駿河湾の浜岡原発はやわな地層の上に建設されていて、東海地震が来たらかなりの打撃を受けるであろうと予測されていることなど。

内藤新吾さんという牧師さんが浜岡原発の危険性をとてもわかりやすく説明されています。


また内藤牧師のブログから10年以上も前に英Channel 4では被ばく労働についてのドキュメンタリーが放映されていたと知って驚きました。報道写真家の樋口健二氏は70年代にある写真と出会って人生が変わったと言います。その後原発で働き被爆した人々を追って話を聞き、写真を撮り、こんなことが許されてはならないと主張し続けて2001年にはNuclear-Free Future Education Awardを受賞されました。現在でも40万人以上が原発労働に携わっているそうです。


同じく上記のブログから観ることができるノンフィクション作家広瀬隆氏のマスコミ報道のあり方への指摘も納得する物がありました。当初マスコミが医療現場のレントゲンやCTスキャン、飛行機での移動で浴びる放射線の量と、原発周辺で測定された放射能のレベルを比較して”ただちに”健康に影響する値ではないと繰り返し言っていました。その度に”ただち”じゃ無くてもじゃあいつかは危ないのか?と疑問を持っていました。照射される放射線と空気に運ばれ体内に入る放射線物質がもたらす健康への影響はまったく別物だそうです。

今から原発なしに戻れるのか。All or nothing、すぐに白黒はっきりできる問題ではないでしょう。日本は電気に頼る生活様式が浸透している先進国です。ライフスタイルの変化だけなら意識改革である程度は改善できるとしても、国を支える経済活動は電気なしには成り立ちません。しかし事実として国土全体が活断層の交わる場所からそう遠くない日本。今回のような天災が発生すれば多くの原発で問題が生じるのは避けられないでしょう。

原子力発電はクリーンなエネルギーと言われています。二酸化炭素排出量だけをとればそうかもしれません。しかし冷却用に使われた海水は温度が7℃上がった状態で、毎秒70トンも海に返されているそうです。地球温暖化はオゾン層の破壊からだけではないのです。

汚水を海に流さざるを得ない所まできた今、今後の日本政府の対応がますます注目されます。

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