『そうそう、今度リスになるから、どこかであえるかも。そしたらよろしくだよ。』
そんなフシギなメールを最近くれたあの人は今日が誕生日。
Happy Birthday!!!
Happy Birthday!!!
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くりっとした目の彼とはバイクショップで出会った。
18歳になって車の免許を、19歳でバイクの免許を取った。普通逆だけれど、車の窮屈さを体感してバイクに乗りたくなった。親には内緒で初めてのバイクを買いに近くのショップに行った。
「こんにちは」
いらっしゃいでもなく、何を探してるの?でもなく、彼は私の目を見てまっすぐに言った。「こんにちは」と答えた私は、次になんて言っていいのか戸惑ってしまった。久々に会う親戚の家に遊びにいった子供のように。
「バイク探してるの?」地に足の着いた問いかけで現実に戻ることができた。ここはバイクショップだ。夏休みに預けられた親戚の家ではない。そして私はバイクを買いにきた。
「免許とったばかりなんですけど、乗りやすくて速いバイクが欲しいなと思って。。」
「速いバイクってのはなくて、速く走るかどうか。乗りやすいってのも、アバウトな感覚だよね」と、初心者をより困惑させる切り返しだ。
黙っている私を気の毒に思ったのか、助け舟を出してきた。
「どんなバイクが好き?スポーツタイプ?それもとオフロードやる?」
「はじめはオンロード。なれたらダートも走ってみたい」とツーリングクラブ仲間からの受け売りで言ってみる。
「そう。ならはじめは250ccで道になれたらいいよ。単気筒でいく?それともツーサイクル?」
単気筒なら知ってる、ぼぼん、ぼんとベースのきいたエンジン音。キックスタートのYamahaのSRXが人気だ。結構スリムで、細っこいボティは昆虫みたい。虫は大の苦手だけど、鉄でできているなら粉燐も飛ばないし、関節もないだろう。
「ここ、ヤマハショップですよね。だとしたらSRXがおすすめ?」とちょっとわかった風な口をきいてみた。それを見抜いたように、『がんばってるね〜』風な慈しむ笑顔とともに目尻がより優しくなった。
「そうだね、SRXはボディもスリムだし、扱いやすいかも」
先生にあてられて模範解答ができた小学生みたいな誇らしげな気持ちで心がいっぱいになった。「じゃあ、そうします、今ありますか?」と聞くと、初めてのバイクなのにイサギいいじゃん!という驚きの表情が浮かんだ。ころころ表情が変わって、本人こんなに観察されてるとは知らないだろうな〜と思いつつ、しっかり楽しんでいた私。
この出会いからもう20年以上。新年に初釣りで釣ったスミイカを自ら届けてくれた彼の笑顔は、着てたフリースの黄身色と同じくらいあったかくてほっこりしていた。
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大きいバイクに乗りたくて手に入れたNinja 500は寂しくカバーが掛かったまま。
今年の春こそ一緒に散歩に行こうかな?
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