2010年3月19日金曜日

クロマグロの行方

大西洋のクロマグロの国際取引の全面禁止がモナコからワシントン条約に提案されていました。地中海および大西洋東側では、過去10年間でクロマグロが74%減っており、これ以上の乱獲が続けば絶滅の恐れあり、というのがモナコの主張でした。そして水揚げ量の8割が日本で消費または取引されているそうです。

しかしカタールで行われた会議において提案は賛成20票反対68票の大差で否決されました。理由としては 1) 食用の魚を絶滅の危機に扮する野生動物の保護目的で設立されたワシントン条約で規制するのはおかしいという考えが発展途上国に浸透したこと、2) 立場の定まらなかった中国が日本をサポートしたこと、3) EU内では取引ができる提案内容になっていて発展途上国をはじめ不公平だと反発があったことなどだそうです。

”発展途上国”のサポートと聞いて、IWCで捕鯨枠確保のために日本が途上国に経済援助をしているという『ザ コーヴ』内のワンシーンを思い出すのは私だけでしょうか。しかし、3)については全面禁止とうたいながら例外が設けられていれば確かに公平とは言えません。

否決を受けて赤松農林水産大臣は、日本の主張が取り入れられた分、今後大西洋に限らず広い地域で乱獲や密猟を防ぐための資源管理を日本がリーダーシップをとってより厳格に取り組んでいくと述べています。

そもそも今回の提案は以前から存在した管理組織が長年管理や調査を怠り乱獲が続いたためと主張されました。過去の詳しい経緯はわかりませんが、10年で74%も減っているという事実を世界がきちんと把握してくれることと、日本が約束を守ることを強く期待します。

4 件のコメント:

  1. 新聞やインターネットの見出しでしか観ていなかったのでとても勉強になりました。ところでアメリカはこの件に関してどういった立場をとっているのでしょうねぇ。

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  2. とあるウェブサイトに載っていた先週世界中で撮られたの写真の1枚が、東京のすし屋の風景でした。カウンターに置かれたいくつもの本マグロの固まりの横で、もくもくと寿司を食べる日本人の写真。まるで世界に向けて中指を立てているような写真だと思いました、、、。

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  3. 美味しい物を食べて何が悪い!という消費者や、こちとらマグロで飯食ってんだい、文句あるかい!といわんかのごとくのお寿司屋さんのコメントも読みました。マグロの数が減っている事実を知ってた上でこの態度では、世界の信頼を失っても仕方ないかもしれませんね。政府が問題を真剣に受け止めて国民を啓蒙してくれたらと思うけれど、おそらく多くの高級クロマグロは政治家のおなかにも入っているんでしょうね。

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  4. えみこさん、USは禁止をサポートしていました。USはマグロ漁を行う国の一つとして、毎年漁獲量の上限を守ってきた、しかしアジアや地中海の国々ではルールを守らず乱獲を行っている国もあり、漁業国の一員として長期的な資源保護のために禁止はやむを得ないとの意見でした。

    長期的な視点。欧米の四半期ごとの成果主義と比較して、日本はビジネスなどを長期的に育むことができる文化を持っているといわれていました。しかしより長期的な地球的レベルの問題にはその視点がないような気がします。

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